12月定例会 本会議にて質問をおこないました。

農業政策について

(桑名) 
  安倍政権は発足以来、デフレ・円高不況からの脱却を目指し、いわゆるアベノミクスを実行した結果、円安株高が進み、昨日の日経平均株価の終わり値は1年前より5,990円高い1万5,515円となり、企業の景況感も好転するなど、アベノミクスは日本経済に好影響を与えております。今後は、アベノミクスの3本目の矢である民間投資を喚起する成長戦略が軌道に乗り、日本経済が着実に成長していくことが期待されます。また、この好転している景況感を地方にも波及させ、来年は国全体で好景気を実感できる年にしたいものです。県議会においても、アベノミクスの着実な実行を後押しする政策を進めていく必要があると考えます。

  しかし一方で、TPP交渉、農地の集積・集約化などの農業改革、米の減反政策の転換など、地方にとっては厳しい問題も存在しております。これらの問題については、国に対し、しっかりと地方の声を届けていかなければならないと感じております。

  国の農業政策は、農業を成長産業に育成するために競争力を持たせようとするものです。確かに農家の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の拡大など、衰退する農業を活性化するには、農地を集積・集約化して大規模農家を育成し、経営規模の拡大や生産性を向上させ、農業に競争力をつけなければならないことは一定理解できます。

  しかし、今、なぜ農業の競争力が強化されようとしているのか。私は、TPP交渉を背景に、農業の成長戦略にうたわれている農産物の輸出戦略が、攻めの農業という言葉に置きかえられ一人歩きした結果、農業が国際競争力の比較というまないたの上に上がってしまったからだと考えます。確かに農産物の輸出拡大は、これからの農業にとって必要不可欠であることは間違いありませんし、さらに研究もして、農家に手取り感のある輸出の仕組みをつくらなければなりません。
  しかし、輸出戦略は、日本の農業の発展を図る上での一つの戦略であって、それが全てではないと考えます。農業の国際的な競争力強化の裏で、そのために切り捨てられる農家もいることを我々は忘れてはなりません。

  現在の日本の農家の70%が兼業農家です。日本の農業は、これらの兼業農家で支えられているのが現実です。また、条件的にも不利な中山間地域において、農業で生計を立てている農家も数多く存在します。これらの農家を、競争力がないといって一律に切り捨てしてしまうことが果たして国益になるのか、私は疑問に感じております。

  先般、国は、米の減反政策を5年後をめどに廃止するとしました。これまでは、さまざまな減反政策を実行してきましたけれども、消費者の米離れもあって、米余りの状況は解消されておりません。こうした状況の中、現在の減反政策を一方的に廃止したら、一部の農地の大規模化が図られたとしても、米余りの状況はさらに進み、米価は暴落することが予想されます。また、農家の喜びは、豊作に対する喜びでなければなりませんが、これでは逆に、豊作が農家の悲しみになってしまいます。

  一方で、稲作のような土地利用型の農業は、水路の管理やあぜの草刈りなど、兼業農家や零細農家も一体となって地域ぐるみ取り組まなければならない作業も多く、大規模専業農家だけでは立ち行かないものです。減反政策の廃止は、農村における地域活動にまで影響を与えてしまいます。

  国は5年後をめどに減反政策を廃止するとしていますが、廃止後の本県稲作農業の将来像をどう考えているのか、知事にお聞きいたします。



(知事)
  水稲は、本県の耕地面積の45%で栽培をされておりまして、農業産出額も最も多い品目となっております。国は、これまでの米政策を大きく見直し、5年後の平成30年度をめどに、行政による生産数量目標に頼らずとも、生産者みずからが需要に応じた生産が行える状況になるように取り組んでいくこととなりました。

  このことによりまして、経営の自由度が増し、規模拡大に取り組む農家が増加することが考えられます一方で、生産コストが高く、小規模農家の多い中山間地域では、過剰生産による米価の下落により、リタイアする農家が増えることも懸念をされているところであります。

  現在、本県では、後継者のいない農家の水田を借り受けるなどして規模拡大に取り組んでいる農家がいる一方で、中山間地域などでは、小規模農家が農業用機械を共同で利用することや、農作業を受託したりして稲作農業を維持しております。また、地域組織の取り組みとして、農業を共同経営する集落営農の取り組みもふえてきておりまして、一部では法人化による多角的な経営も始まっているところであります。

  今後は、新たに設置されます農地中間管理機構による農地の集約や経営所得安定対策、日本型直接支払制度などといった支援策を効果的に活用しながら、比較的条件のよい地域では規模拡大農家の育成を進めていく一方で、条件不利地域である中山間地域では集落営農組織の育成に努めていく、これが大きな方向ではないかと考えております。また、必要に応じまして政策提言を行い、本県の稲作農業を支援してまいりたいと、そのように考えております。


(桑名)
   農林水産省は、減反政策を見直しても、国土保全や集落機能の維持など、農業の多面的な機能を評価した日本型直接支払の創設や、飼料米の生産支援に重点を置いた新たな経営所得安定対策などにより、平均的な農業集落における所得等は13%増加すると試算していますが、これをどのように捉えているのか、農業振興部長にお聞きをいたします。



(農業振興部長)
  農林水産省では、米政策の見直しや農業経営の安定を目的といたしました経営所得安定対策の見直し、農業・農村の持つ多面的機能を発揮するための日本型直接支払制度の創設など、新たな農業政策によって、農業集落の所得等がどのようになるかを試算しております。
  その試算内容は、日本の平均的な規模の農業集落といたしまして、耕地面積を34ヘクタール、うち水田が19ヘクタール、畑が15ヘクタールと仮定した上で、なお、前提条件といたしまして、飼料用米への支援措置の充実によって、主食用米の作付面積の約1割は飼料用米へ転換することや、作付されていない農地の一部に新たに飼料用米を作付することなどによりまして、見直し後の農業集落の所得等は、見直し前より13%増加する結果となっております。
  この試算結果を見てみますと、まず、作付していない農地に飼料用米を作付することや、収量に応じて支払われる飼料用米の交付単価を上限値である10アール当たり10万5,000円を用いていること、また、新たに創設される農地を維持するための共同活動に対して支払われる日本型直接支払の交付金を試算に計上していることなどを踏まえますと、この試算は、あくまで国の交付金が見直し後にどのようになるかを試算したものであると捉えております。


(桑名)
 日本の農業は、前段で申し上げた攻めの農業の前に、まずどうやって守っていくのかを第一に考えなければならないと思います。「攻撃は最大の防御なり」という言葉もありますが、孫子の兵法では「まず守りを固めよ」という教えもあります。

  現在、攻めの農業という言葉が国や県の農業政策の中で金科玉条のように使われていますが、兼業農家の占める割合が高く、多くの中山間地域を抱える本県の農業のあり方や、現在、国が進めている農業の成長戦略についてどのように考えるのか、知事にお聞きいたします。


(知事)
  ことし6月に国が策定をしました日本再興戦略におきまして、農業・農村全体の所得を倍増させるため、今後の政策の方向性を示しました農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめることとなっておりましたけれども、12月10日に同プランが決定されたところであります。

  同プランでは、産業政策と地域政策の2つが車の両輪として位置づけられておりまして、産業政策では、例えば農地の集約を進めるための受け皿となる農地中間管理機構の創設といった生産現場の強化や、輸出の促進など強い農林水産業を進めるための施策が位置づけられております。

  また、地域政策では、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るための日本型直接支払制度の創設といった、美しい活力ある農山漁村に向けた施策が位置づけられているところであります。
  現段階では、この産業政策と地域政策、この両者の詳細は明らかになっておりませんけれども、この産業政策と地域政策の両輪の位置づけというのは、本県のこれまでの提言にも沿ったものと評価をしております。

  本県はこれまで、第1次産業の競争力を強化し、成長産業とする攻めの施策と、競争力の強化では守ることができない中山間地域への地域政策を重視した守りの施策を実施していただくよう、再三、国に対して提言活動を行ってまいりました。この攻めは産業政策、守りは地域政策と、おおむねみなすことができます。

  今般発表されたプランの中には、攻めの施策として、産業政策の一環として、本県の特徴である施設園芸の取り組みの加速化につながる次世代施設園芸団地の施策もあり、今後の農業の強化に向けて本県も大いに活用していきたいと考えております。

  一方、中山間地域が多い本県にとりましては、守りの施策が必要でありまして、今回のプランの地域政策の視点は重要であると考えております。この地域政策として創設されます農業・農村の持つ多面的機能を発揮するための日本型直接支払制度などの国の制度を大いに活用しながら、これまで本県で取り組んでおります集落営農組織の育成や、中山間地域に適したユズや薬用作物などの生産振興を充実させまして、今後とも中山間地域で安心して農業が続けることができるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。


(桑名)
  東日本大震災では、石油タンクや漁業用の燃油タンクの倒壊や燃料の流出により火災が発生し、重大な被害をもたらしました。施設園芸農業が盛んな本県では、多くの農業用重油タンクが存在しております。

  県の調査では、県内に9,313基の重油タンクがあり、うち4,425基が津波浸水域に設置されております。また、現在普及している重油タンクは、重油の出し入れや残量確認のための穴があいており、地震の揺れによる重油の流出も懸念されます。重油タンクの倒壊や燃料の流出は、火災の発生だけでなく、重油による土壌汚染の心配もあり、震災後の農業の早期再開にも支障を来すものです。

  こうした中、県内企業が県の補助制度を活用して、重油流出防止装置つきの新タンクを開発しました。県は現在、レンタルハウス整備事業の中で、この新タンクのモデル的な導入について支援をしております。来年度以降の本格的な普及が急がれます。

  しかし、新旧タンクの価格は、タンク設備だけでも約3倍の価格差があり、また、これに加えて消防法の規定による防油堤の設置もしなければなりません。県の現在の補助制度は、タンク設備に対する補助率4分の3のみであり、農家の負担を考えれば、新タンクの普及が進むとは考えられません。今後、震度5に耐え得る新タンクと防油堤を一体に補助対象とする新たな補助制度が必要と考えます。

  重油価格や生産資材の高騰、農産物の価格低迷など、施設園芸農業を取り巻く環境は大変厳しい中で、新たな投資が本県施設園芸農家の営農意欲を減退させることにもなりかねないおそれがあります。

  県は農林水産省に対して、南海トラフ地震に備えた農業用燃油タンクの防災・減災対策への支援について政策提言をしておりますが、国の施策として支援が得られるよう、さらに働きかけをお願いするところです。

  国の施策とするためには、本県だけでなく、同様の被害が予想される他県との連携も必要と考えます。農業振興部からの報告では、いまだ燃油タンクの設置数を把握していない県があると聞いています。ぜひ、尾ア知事がリーダーシップをとり、同じ問題を抱える他県と連携をしながら、国の具体的な支援措置が得られるよう早急に取り組む必要があると考えますが、知事にお聞きいたします。



(知事)
  国に対しましては、これまでに2度、農業用燃油タンク設備の計画的な導入を促進する支援制度の創設について提言してまいりました。また、本年の四国知事会においても、燃油タンクの防災・減災対策への支援を提言しますなど、他県との連携に努めてまいりました。その結果、国から農業用燃油タンクの数や防災対策の実施状況について問い合わせを受けているところでありまして、何らかの動きが出てき始めたのではないかと考えております。

  農業用燃油タンク対策は、南海トラフ巨大地震対策の重要な課題であります。来年度から、県単独の支援制度を創設したいと考えておるところでありまして、現在、検討を進めさせていただいております。また、同じ課題を抱える他県とも連携をしながら、機会を捉えて、国の具体的な支援措置が得られるよう取り組んでまいりたいと考えております。


(桑名)
平成26年度予算に向けて、流出防止装置つきタンク設備の整備予算の要求もしていると伺っていますが、新たな補助制度の創設や当面の取り組みをどうしていくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。



(農業振興部長)
この取り組みに当たりましては、園芸農家の営農意欲の減退につながることがないよう、慎重に進めていく必要があると考えています。現在、市町村やJAグループと連携いたしまして、農家の方々に対策への理解と協力が得られるよう、県内にある約9,300基のタンクのうち、約4,400基が浸水域にあるなどのデータを示し、今後の取り組みを伝えているところでございます。また、市町村単位で、浸水の程度や住宅との隣接状況などを踏まえた推進計画や支援などについて検討がなされています。

  一方、25年度から、レンタルハウス整備事業等におきましては、流出防止装置つきタンク等の補助率をかさ上げいたして支援をしているところでございます。

  今後は、市町村やJAグループとも連携しながら、26年度からは、流出防止装置つきタンクの導入についての支援や、重油タンクそのものの削減を図るためのヒートポンプや木質バイオマスボイラーなど、重油にかわる暖房機の導入を支援する県独自の支援制度を創設したいと考えております。



在宅医療・介護の推進について

(桑名)
国は平成24年に、在宅医療介護あんしん2012を策定し、これまでの施設中心の医療・介護から、可能な限り住みなれた生活の場において必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活が実現できる社会を目指すという方針のもと、在宅医療・介護の推進に向け取り組んでおります。

  この背景には、急速に進む高齢化への対応や在宅医療・介護を希望する国民ニーズの高まりなどがありますが、いずれ訪れる人口減少問題もあり、療養病床や介護施設を安易にふやせないという国のスタンスもあります。在宅医療に対するニーズについては、本県の調査でも、長期療養が必要となった場合、自宅で暮らしながら訪問診療や訪問介護などによる在宅医療を受けたいという方が24.4%と、在宅医療を希望する声も多くなってきております。

  本県では、第6期高知県保健医療計画の中で在宅医療の推進を掲げ、25年度は予算も増額し取り組んでおります。しかし、在宅医療・介護をめぐる本県の現状は厳しい状況にあります。在宅医療を支える医師の確保、訪問看護師の養成や訪問看護ステーションの整備など医療提供サイドの問題、また、家族に負担をかけたくないとの思いや受け入れ家族の不安など患者サイドの問題、要介護度が高い方を受け入れ可能なショートステイやデイサービスの不足など介護施設の受け入れの問題、さらには、在宅医療についての啓蒙や情報不足といった情報提供面での問題など、多くの課題が横たわっております。

  こうした課題がある中で、人口が集中する高知市や過疎化が進む中山間地域を抱える本県の在宅医療・介護の将来像をどう描いているのか、知事にお伺いいたします。



(知事)
日本一の健康長寿県構想では、在宅医療・介護に関する平成33年度末の姿といたしまして、在宅医療が選択できる環境が整っている、また、たとえ介護が必要になってもニーズに応じた介護サービスが受けられ、安心して暮らせるようになっている姿を目指しているところであります。そのため、議員の御指摘にもありましたような、さまざまな課題の解決に向けた取り組みを進めているところでございます。

  平成24年度に本県で実施しました在宅医療実態調査では、一部地域偏在はあるものの、医師による訪問診療可能件数が在宅患者数を上回る結果となりました。しかしながら、在宅での療養を選択するには、家庭の介護力や経済的負担の問題が、平成23年度の世論調査でも大きな課題となっているところであります。

  在宅で医療や介護のサービスがどこまで受けられるのか、専門機関などとも相談されることなく、最初から無理だと諦め、在宅療養を選択していない潜在的な需要も想定されるところでございます。十分な情報提供と啓発を行うことにより、在宅療養を有力な選択肢として加えていただけるようにしてまいりたいと考えております。

  また、在宅療養を支えるには、医師や看護師、ケアマネジャーなど多くの職種がかかわることになりますが、これらの職種間の連携が十分でない面がありますことから、円滑にサービスが提供されますよう、引き続き顔の見える関係づくりを進めてまいります。

  さらに、地域特性として、高知市とその周辺部においては、医療や介護資源が集中してはいるものの、今後の高齢者の増加に伴いまして、介護保健施設等に対するニーズのこれまで以上の増大が見込まれますことから、訪問診療を担う医師を初めとする医療従事者や介護サービスを担う人材の確保・育成を図ることにより、必要なサービスを提供できる環境を整備してまいります。

  他方で、中山間地域におきましては、現状でも資源が十分でないことに加えまして、独居や高齢者のみの世帯のさらなる増加も見込まれるところであります。現在ある医療機関の訪問診療への参画を促すことや、医療機関同士、あるいは訪問看護ステーション等との連携の強化、さらには、事業所から遠距離の利用者への在宅介護サービスの提供に対する助成などを通じまして、中山間地域でも必要なサービスの提供が可能となるよう目指してまいります。

  このような課題の解決に向けた取り組みを着実に進めることによりまして、住みなれた地域で必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して暮らしていける高知県の姿を実現させるべく努力を重ねてまいりたいと考えております。


(桑名)
25年度事業を進めている中での課題や取り組み状況など、在宅医療・介護の現状を健康政策部長にお伺いをいたします



(健康政策部長)
在宅医療・介護に関する課題については、訪問看護サービスが提供できていない地域や、退院調整から在宅での療養生活を支える多職種による連携したサービスの提供ができていない地域があること、また、将来的なニーズの増大に対応するために、医師、訪問看護師などの在宅医療従事者や介護サービスを担う人材の確保・育成などが挙げられます。

  このため、本年度は、医師等の地域リーダーを中心とした地域での在宅療養を支えます医師や看護師、ケアマネジャーなどの多職種間の連携体制の構築や新たな人材を育成する取り組みのほか、病院を拠点とした多職種連携による退院支援などに取り組みました。また、訪問看護師が難病などにも対応できるようにするためのスキルアップ研修の実施や、在宅療養の取り組み事例を紹介しました県民向けの啓発用DVDを作成するなど、課題の解決に向けた取り組みを進めているところです。

  今後は、在宅医療に参画する医師をふやすための研修の実施や、訪問看護事業者と連携し、中山間地域で訪問看護サービスを提供できる仕組みの試行などに取り組んでまいりたいと考えています。

  あわせて、今後の認知症高齢者の急激な増加に対応するため、地域包括支援センターと認知症疾患医療センターなどが連携し、認知症初期の包括的、集中的な支援が可能となる体制整備に向けたモデル事業を実施するなど、在宅医療と介護が連携したサービスを提供する際の課題解決にしっかりと取り組んでまいります。



がん対策について

(桑名)
本県のがん対策の一つとして、平成21年、がん治療に当たる医療機関が連携し、高知県版がん地域連携クリニカルパスを作成しました。がん地域連携クリニカルパスとは、がんの専門的な医療を行う、がん診療連携拠点病院と地域のかかりつけ医が連携し、安心・安全で質の高いがん診療を行うため、数年先までの患者の診療方法を定めた治療計画のことです。

  がん治療に関しましては、これまで治療のほとんどを高知大学医学部附属病院や医療センターなどのがん診療連携拠点病院が担っておりました。一般的に、がんの治療は長期にわたり、拠点病院に通院し治療を受けるには交通費もかかり、通院や診療待ちなど長時間になることから、患者にとって経済的にも肉体的にも負担が大きいものでした。

  しかしながら、このクリニカルパスを活用して、拠点病院とかかりつけ医の連携と役割分担が図られると、患者の負担や治療の先行きへの不安は軽減され、また、医療提供サイドにとっても患者情報を共有することで検査の重複などの無駄がなくなります。このような連携は、がん診療連携拠点病院の指定要件でもあり、全国的にこのような取り組みがされております。

  しかし、本県では、平成21年度から22年度にかけて、胃がん、肺がん、肝臓がんなどの、いわゆる7大がんのクリニカルパスを作成しましたが、ことし2月に開催された高知県がん対策推進協議会では、その活用が進んでいないとの報告が上がっております。

  他県においては、県の担当部局が中心となり、医療機関と連携をしながら、このクリニカルパスの普及を図っていますが、本県のクリニカルパスの現在の活用状況と活用が進んでいない理由、また、今後の普及に向けての具体的な取り組み方針を健康政策部長にお聞きいたします。



(健康政策部長)
  がん診療拠点病院と地域の医療機関との診療連携は、1カ月当たり800件程度の実績はありますが、地域連携クリニカルパスの活用実績となりますと、1カ月当たり数件にとどまっています。その理由としては、電子カルテと連動していないことから二度手間となることや、患者さんが紹介先の病院とあわせて拠点病院への通院を引き続き希望されるというようなことなどが挙げられます。

  県としては、パスの活用が余り進んでいないことは承知していますので、他県の取り組みも参考にしながら、がん診療連携協議会の事務局でもある高知大学医学部とともに、地域連携クリニカルパスの普及方法や患者さんにもわかりやすいパスのあり方について検討していきたいと考えています。


(桑名)
がん患者の口内炎などの有害事象を防ぐ目的で、高知県歯科医師会が中心となって、がん患者に口腔ケアを行う取り組みを本年度から始めました。がんを治療中の患者は、免疫力が低下することや、放射線治療、抗がん剤投与の副作用で、重い口内炎や味覚障害などの有害事象が発生し、食事ができなくなることも多く、やむを得ずがんの治療を中断するケースも少なくありません。

  こうした合併症は、がんの治療の前に虫歯や歯周病を治療しておくことや、病院と歯科医が連携して患者の口腔ケアを継続的に行うことで、その予防や症状の軽減ができることから、県内のがん診療連携拠点病院と地域の歯科医が協力をして、がん患者診療に関する医科歯科医療連携事業を行うこととなりました。

  県歯科医師会は、各地域においての患者の口腔ケアを学ぶ講習会を開催し、講習会を受講した歯科医を連携歯科医師として登録して、その登録名簿をがん患者の治療に当たる医療機関に提供するなど、医科と歯科の連携に努めています。

  しかし、がん診療連携拠点病院である高知大学医学部附属病院や高知医療センターは、歯科口腔外科を標榜しており、患者の口腔ケアが行えていますが、県立病院である幡多けんみん病院とあき総合病院には歯科室がなく、入院患者に対する専門的な口腔ケアが行われていない状況にあります。この医科歯科連携事業は、在宅や地元歯科医院での治療を想定していますが、入院患者への対応も必要と考えます。

  また、がん患者だけでなく糖尿病など、ほかの病気で入院中の患者の中にも、歯科治療を必要としている方が多くいます。県立病院への歯科室の設置については、平成23年2月の予算委員会で、森田委員がその必要性について質問をしており、当時の公営企業局長は、今後検討をして、県立病院として口腔ケアの充実に向け取り組んでいくと答弁をしております。

  県立病院への歯科室の設置については、県歯科医師会からも要望が上がっていますが、今後、県立病院に歯科室を設置する計画はないか、公営企業局長にお伺いをいたします。



(公営企業局長)
  がん患者を初め、入院患者に対する口腔ケアの充実を図ることは、入院中における治療効果の向上や、退院後の生活の質的向上にもつながりますことから、県立病院におきましても、医師や看護師、管理栄養士など、多職種によるチーム医療のもと、口腔内の清潔保持や嚥下・摂食機能の回復訓練、さらには化学療法患者に対する口腔ケアといったケアを実施しているところでございます。

  また、医科と歯科の連携の面では、あき総合病院におきましては、本年9月に、がん患者の口腔合併症などの予防や軽減、安心して歯科治療や口腔ケアを継続的に受けることができる体制の整備などを目的として、高知県歯科医師会との間で、がん患者歯科医療連携合意書を締結いたしました。

  幡多けんみん病院におきましても、本年10月に地元の歯科医師会と歯科医科連携会議を立ち上げ、歯科医師による病院への往診や各歯科医院での口腔ケアの実施などについての協議の場が整ったところでございます。

  今後は、こうした連携会議などでの議論を深めていく中で、病院内における口腔ケアのあり方、さらには歯科室を設置する場合の課題とその対処方などについて具体的に整理をしていきたいと考えております。


(桑名)
がん患者に対する医科歯科連携事業をどのように充実をさせていくのか、健康政策部長にお聞きいたします。



(健康政策部長)
がん患者の緩和ケアやQOLの維持向上のためには、がん治療前後における歯科治療や口腔ケアは非常に需要であると認識しています。

  県としては、医科歯科連携事業の一つとして、県歯科医師会、高知大学医学部との共催で、がんの緩和ケア等に対する講習会を開催しています。この講習会の修了者は、県歯科医師会において、がん患者歯科医療連携を行う歯科医師として登録し、ホームページなどで名簿を公開することになっています。現在、がん連携講習の受講者は延べ504名、うち登録歯科医は約200名と順調に増加しています。

  また、地元歯科医師が入院患者などへの訪問歯科診療を実施できるよう、歯科医療機関への貸し出し用の在宅歯科医療機器を、無歯科医地区を除く各市町村に配置するなど、環境整備も進めています。

  今後は、がん診療連携拠点病院等に対し、がん患者に対する歯科医療の重要性を理解した医療従事者を確保、増加させるための人材育成を要請してまいります。また、平成23年度に設置した在宅歯科連携室を中心に、県民の方々へ歯科医療の重要性について情報提供を行い、入院も含め、通院が困難な方と歯科医院とをつなぐことで医科歯科連携事業の充実を図ってまいります。


不妊予防について

(桑名)
    高知県のみならず、我が国は人口減少社会に向かっております。このまま推移すれば、30年後には日本の人口は1億人を下回り、40年後には9,000万人を割り込むとされております。この人口減少の大きな流れを転換させることは容易なことではありませんが、少子高齢化は高知県にとっても国にとっても経済活動の縮小、社会保障負担の増大など、百害あって一利なしと言えます。

  尾ア知事は、全国知事会の次世代育成支援プロジェクトチームの長も務められており、この10月には少子化危機突破に向けた抜本強化策を国に提言もされました。また、来年度県予算においても、少子化対策を拡充する方針も打ち出され心強く感じております。

  そうした中で、きょうは、妊娠・出産にかかわる課題について質問いたします。

  少子化対策として、国、県、市町村は、婚活や育児支援など、さまざまな施策を打ち出しておりますが、人口の増加を図るには、当然新しい命が生まれてこなければなりません。このことは、日本の人口問題を解決するために最優先で取り組むべき課題と考えます。

  人にはそれぞれの生き方があり、特に昨今は、生まれてきて死ぬまでの人生の軌道、いわゆるライフコースが多様化しており、価値観も大きく変化をしております。ですから私は、子供を産むことがよいこと、結婚することが幸せなどといった昔ながらの一方的な価値観で言っていることではないことをまず御理解ください。

  さて、世界中で不妊症の患者が増大しております。どの国でも不妊症を抱えるカップルは10%から15%の割合で存在しております。ただし、日本の場合は、晩婚化と晩産化が不妊を深刻化させていると言われております。

  2012年の第1子を出産したときの母親の平均年齢は30.3歳です。慶應大学医学部産婦人科吉村教授は、ある紙面で、「今、体外受精などの不妊治療を受けている人の約9割は、10年前に子供をつくろうとしていれば自然に妊娠できたのではないか」と指摘をしています。晩婚化、晩産化に至る背景は、それぞれのライフスタイルから来るものですが、不妊の根底には、自分の体や妊娠のメカニズムへの知識不足から、妊娠・出産の好機を逃してしまっていることがあると考える向きもあります。

  結婚をする、しない、子供を産む、産まないは自由に選択できますが、妊娠は自由にならないことを余りにも知らな過ぎる現実があるのです。要は、卵子も老化をするものであり、妊娠にも適齢期があるということです。

  データによると、25歳から30歳までは、自然妊娠率が25%から30%、35歳で18%、40歳で5%、45歳では1%と、年齢が上がるにつれて妊娠率は低下していきます。流産や染色体異常の発生率は逆に高まってきます。

  ある調査によると、「36歳を境として女性の妊娠力は低下するか」という質問に、カナダは正答率82.1%、イギリスは71.9%に対し、日本は29.6%しかありませんでした。妊娠や出産に対する知識不足が不妊につながり、少子化を招いている一因だと考えます。

  そうした中で、大分県では、25年度から不妊予防啓発事業を開始いたしました。この事業は、相談員が企業や事務所に出向き、卵子の老化など、年齢による出産への影響などについて、若い女性社員、男性社員に対し個別の出前講座を開くものです。こうした啓発活動で正しい知識を広めていくことが少子化対策の第一歩とならなければならないと考えます。

  妊娠や出産についての議論は、当事者にとって大変デリケートな問題でありますが、私としては、不妊予防についてしっかりとした啓発活動が必要と考えます。そこで、行政として今後不妊予防にどうかかわっていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。



(知事)
少子化の問題は、我が国の将来のあり方をも左右する喫緊の課題であります。私は、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、国みずからが少子化対策を国策の中心に捉えて取り組むべきであることを強く国に訴えてまいりました。

  国におきましては、子育て支援施策の充実を中心に少子化対策を進めておりますけれども、今後の少子化の進行に歯どめをかけていくためには、結婚・妊娠・出産・子育てといったライフステージに応じた総合的な対策が必要だと考えております。

  女性にとって結婚や妊娠の選択は、本人の考えに基づいて決定することでありますが、加齢に伴う不妊のリスクに対する認識も含め、自分の大切な生殖機能について正しい知識を持った上で、妊娠や出産に適した時期を逸することなく、みずからの望む生き方を実現していくことが重要だと考えております。
  このため、県としましても、本年度からの新たな取り組みとして、10月に一般県民の方を対象として女性の健康フォーラムを開催し、卵子の老化など、妊娠が難しくなる年齢があることについての特別講演などを開催し、普及啓発を行いました。今後も、思春期ハンドブックやリーフレットの配布、学校教職員を含めた関係者への講演、さらには平成25年度より実施をしております学校での副読本を活用しました健康教育などの場を通じまして、若い男女から広く県民の皆様に対して、正しい知識の啓発と情報の提供に努めてまいりたいと考えておるところであります。


(桑名)
若い世代に対する教育として、学校教育の段階から取り組むべきとも考えます。妊娠や出産についての教育は、現在、高校の保健体育の授業で実施されておりますが、こうした不妊予防の観点で充実させていく考えはないか、教育長の所見をお伺いいたします。



(教育長)
これまで県教育委員会では、「人間としてのあり方、生き方について考え、学んでいく教育」として、保健体育を中心に学校の教育活動全体で行う性に関する指導を推進してまいりました。

  高校の保健体育の授業では、「生涯を通じる健康」の「結婚生活と健康」の中で、性機能の未成熟な若年出産や高齢出産では、死産など、出産に伴う健康問題のリスクが高まることなどを教えており、生徒は妊娠・出産については適切な時期があることを学んでおります。

  お話がありましたように、不妊予防については、若い世代への啓発が重要であると考えております。そのため、今後は助産師などの専門家と連携をし、不妊予防を新たな視点として組み入れた教職員対象の研修会を実施することなどにより、授業の充実に努めてまいります。

  また、不妊予防のためには、高校生のころから健康的な生活習慣を身につけることが重要であることから、本年9月に健康政策部と連携して作成した副読本「よりよい生活習慣のために」を、県内の高校生全員に配布して活用を進めるなど、日本一の健康長寿県構想と連携した各学校での健康教育も一層推進してまいります。


教育委員会制度について

(桑名)
    教育再生実行会議の提言では、「教育委員会、その代表者である委員長、事務統括者である教育長の間で責任の所在の不明確さ、教育委員会の審議等の形骸化、危機管理能力の不足」といった課題が指摘されました。これを受けた中教審教育制度分科会は、「非常勤の教育委員の中には、常勤の教育長と同じだけの情報を得ることができない中で、どのような事項について、どこまで強く意見を言ってよいものかという戸惑いがある一方で、重要な決定については、教育長と同様に行っていることへの違和感があるという声が少なくない。こうした中で、いじめによる自殺など、重大事案が生じた場合に、教育委員として果たすべき役割を明確にできず、教育長や学校といった専門家集団の対応を住民目線からチェックするという役割を果たせない場合もある。このような状況が50年以上の間続いてきたことが、さきに示された責任の所在の不明確さ、審議の形骸化、危機管理能力の不足といった教育委員会の課題の原因であり、このため教育委員会制度の抜本的な改革が必要である」と答申案をまとめたところです。

  また、この答申案の中では、首長は執行機関とするとともに、教育長を首長の補助機関とし、教育委員会を首長の附属機関とする方向が示されました。簡単に言えば、首長をトップとし、今の教育委員会は勧告や審議をするだけの諮問機関的なものにするものです。この案では、首長が教育行政のトップになるので責任の所在は明確になりますが、政治的中立性が確保できるかどうか懸念されております。
  そこで、質問をいたします。

  教育再生実行会議の提言の中で、教育委員会の会議は形骸化しているという指摘がなされておりますが、本県の会議は、指摘のように形骸化しているのか、現状を教育委員長にお尋ねいたします。  また、懸念される政治的中立性の確保についてはどう考えるのか、これまで長らく教育界で活動された御経験から、あわせて教育委員長にお聞きいたします。



(教育委員長)
   教育再生実行会議の提言の中で、教育委員会の会議は形骸化していると指摘されているが、本県の現状はどうか、また、現在検討されている教育委員会制度の改革に関しては、政治的中立性の確保についての懸念があるが、どう考えるかとのお尋ねがございました。

  まず、本県の現教育委員会の会議の現状についてお答えをさせていただきます。

  県教育委員会の会議におきましては、教育に深い関心と熱意を有する各委員が、それぞれの知識や経験に基づきまして、形式的な意思決定が必要な議案のみならず、教育委員会に本来期待されております本県の教育のあるべき姿や、教育の基本方針といった内容についてもしっかりと審議ができるように努力をいたしております。

  具体的に申し上げますと、審議をより実効あるものとするため、定例、臨時の会議とは別に、いじめ問題、新図書館等の整備、県立高等学校の再編振興など、その時々の重要なテーマにつきまして、意見交換や協議を行う場を設けますなど、審議を深めるための十分な準備を行っております。

  また、本県のさまざまな教育課題に関し、より正確な把握等に努めた上で適切な審議を行いますため、各委員が県内各地の小・中、県立学校を計画的に訪問し、実地に調査しますとともに、多の都道府県の先進的な事例の調査や、機会を捉えた研修等への参加を行いますなど、教育委員会に求められる役割をしっかりと果たすことができるよう取り組んでおります。

  こうした取り組みの結果といたしまして、会議における議決につきましても、事務局から提案された内容どおりではなく、一定の修正を行った上で議決を行うといった事例もたくさんありますし、事務局が実施する施策等に対しましても、より実効あるものとするための具体的な指示なども行っているところでございます。

  県教育委員会といたしましては、こうした活発な活動、充実した会議を行いながら、知事との緊密な意思疎通のもと、しっかりとベクトルを合わせ、着実に教育改革の取り組みを進めてまいりましたが、その成果も一定上がってきたものと受けとめております。

  ただ、教育再生実効会議の提言などで指摘されておりますように、非常勤の委員も合議体であるという教育委員会の性格上、日々変化する教育問題に関し、常に細かな部分まで把握するといったことや、さまざまな課題に迅速に対処していくといった面では、おのずと限界があることは否定できないところでございます。

  次に、中央教育審議会教育制度分科会の答申案で示されました制度改革案に対し、まず、政治的中立性の確保に関する懸念についてお答えをさせていただきます。

  現在の教育委員会制度は、戦後一貫して教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保する機能を果たしてまいりました。他方、このたびの改革案につきましては、教育行政においても首長を執行機関とすることに対し、政治的中立性等が確保できないのではないかといった懸念もあるところでございます。
  この点、答申案におきましては、教育の方針や内容については、多用な属性を持った複数の委員による合議が関与することにより、さまざまな意見や立場を集約した中立的な意思決定をし、首長の属する党派の利害に左右されることなく、個々人の判断や恣意の介入を防ぐ仕組みは、新たな地方教育行政制度においても必要であると考えるとしておりまして、政治的中立性等を確保するため、教育委員会の役割に関して、首長が教育に関する大綱的な方針を策定する際には、教育委員会の議を経ることとするなどといった措置を講じることとはされております。

  しかしながら、地方公共団体には、都道府県から小規模な町村まで、さまざまな団体があることを踏まえますと、これだけでは、政治的中立性等の確保についての懸念を払拭するまでには至っていないのではないかと受けとめております。

  今後、中央教育審議会における審議、そして答申、さらには答申を踏まえた関係法令の改正等が行われていく中で、政治的中立性の確保についての懸念の声をしっかりと受けとめていただいて、十分な議論を尽くしていただき、新たな体制においても、教育の政治的中立性等を確保する制度設計がなされることを期待しております。


(桑名)
  この答申案では、教育委員会を執行機関として存続させるとともに、教育長をその補助機関とする別案についても併記されており、今後、答申を受けて国会で審議されることになろうと思いますが、どういう形で制度改革が決着するにしても、教育長の専門性は高まるばかりです。各市町村の教育長の専門性をどのようなやり方で、どれくらいのレベルまで高めていくのか、教育長にお伺いをいたします。



(教育長)
地方教育行政のあり方に関するこれまでの議論の経過を踏まえますと、教育長は首長の補助機関として設置されるのか、あるいは性格を改めた上で、執行機関として存続する教育委員会の補助機関として設置されるかにかかわらず、教育行政に関する事務執行の責任者となることが見込まれております。
  したがいまして、今までにも増して教育長の資質や専門性の担保が重要となってまいりますし、とりわけ子供たちを取り巻く環境が複雑化をし、教育行政や学校に求められる事柄も多様化している状況に鑑みれば、教育長にはリスクマネジメントの力や関係機関との連携といったネットワークをマネジメントする力の向上もより一層求められてまいります。

  このため、県教育委員会としましては、教育長の専門性を高めるための研修に関し、市町村教育委員会連合会などとしっかりと連携し、これまで以上に効果的なものとなりますよう、内容の充実を図ってまいりたいと考えております。その際には、本県の市町村の教育長は約7割が一般行政経験者、約3割が教職経験者であることを踏まえ、行政系の教育長には教育に関する専門性を、教育系の教育長には行政に関する専門性を、そして双方ともにマネジメント能力を高めていただけるよう、意を用いたいと考えております。

  あわせまして、国におきまして、教育再生実行会議からの提言で示されました取り組み、すなわち、学び続ける教育長の育成に国が一定の責任を果たすべく、現職の教育長や教育長候補者を対象として、教育の専門的識見とマネジメント能力の向上を図るための研修が実施されることとなれば、積極的に活用していくべきだと考えております。

  

いじめ防止対策について

(桑名)
    いじめ防止対策推進法が9月に施行され、これを受け文部科学省は、いじめ防止の基本方針をこの10月に取りまとめました。今後は、いじめ防止対策推進法や国の基本方針をもとに、地方公共団体や学校においても、いじめ防止対策を講じていく必要があります。

  いじめ防止対策推進法は、地方公共団体、学校に対し、それぞれの実情に合ったいじめ防止に関する基本方針の策定を義務づけるとともに、いじめ問題に関係する機関が連携していじめ問題対策連絡協議会を組織し、いじめ防止に取り組むことができることとしました。

  また、各学校に教職員、心理、福祉などの専門的な知識を有する者などで構成するいじめ防止対策のための組織を置くことや、いじめによる重大事件が発生した場合には、その調査組織を設置することを義務づけました。

  いじめは日々起こり、今もいじめで悩み苦しんでいる多くの子供たちがいます。一刻も早く、いじめ防止対策推進法や国の基本方針をもとに、本県の実情に合った対策を講じていかなければなりません。

  しかし、一方では、地方公共団体や学校が基本方針をつくる場合、そのノウハウを有しているのか、また、対策協議会や調査組織を設置する場合、それぞれの組織にふさわしい専門家をどう確保するのかといった問題もあります。さらに、地方公共団体や学校間での対応能力のばらつきも懸念されます。

  こうした課題の解消には、本県では県教育委員会が支援していくとしておりますが、新年度を迎えるまでに、いじめ防止対策推進法への対応を済まさなければならないと考えます。今後、どういったスケジュールで進めていくのか、また、いじめ対策を推進するに当たって、これらの課題をどう解決をしていくのか、教育長にお聞きいたします。



(教育長)
  まず、県としましては、いじめ防止対策推進法を受けて、国が策定したいじめの防止等のための基本的な方針を踏まえながら、私立学校を所管する知事部局を初めとする関係部局とともに、年度内に高知県いじめ防止基本方針を策定したいと考えています。そのため、今月17日に、国のいじめ防止基本方針策定協議会の座長を務められた森田洋司大阪市立大学名誉教授を初めとする、外部有識者による検討委員会を立ち上げることといたしました。

  その中で、関係機関との連携を図るための組織的なあり方なども含め、幅広い視点で議論をいただいた上で基本方針の原案を策定し、パブリックコメントの実施を経て、来年3月末までに基本方針を策定してまいります。あわせまして、県立学校については、3月末までに各学校の実情に応じた基本方針の策定と、いじめの防止等のための組織の設置を行うこととしております。

  次に、各市町村や市町村立の学校に対しては、年度内に基本方針の策定や組織の設置が確実に行われるよう、11月に市町村教育長等を対象に説明会を実施し、国の基本方針の内容等を周知するとともに、来年度4月から法に基づいた対策をスタートできるよう、確実な対策の実施を要請したところです。

  今後は、各市町村や学校において基本方針の策定が円滑に進むよう、検討委員会における審議の内容などを随時情報提供するとともに、来年1月には、県内全ての学校長に対して説明会を開催し、県の基本方針案をお示ししたいと考えております。また、各市町村教育委員会等の取り組み状況を踏まえながら必要な助言を行いますとともに、いじめ対策の充実という観点から、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充を図るなど、積極的な支援を行ってまいります。


(桑名)
今回のいじめ防止対策推進法や国の基本方針の制定を受け、本県のいじめ問題の総合的な取り組みをどのように進めていくのか、具体的な施策を教育長にお聞きをいたします。



(教育長)
いじめ防止対策推進法等の制定を受け、本県のいじめ問題の総合的な取り組みをどのように進めていくのか、具体的な施策についてお尋ねがございました。

  今後策定する高知県いじめ防止基本方針では、いじめ防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、具体的な対策として、いじめの未然防止のための取り組みや、いじめの早期発見・早期対応のための対策、ネット上のいじめへの対応、いじめの防止等に関係する機関や団体との連携を図るための組織の設置や、市町村教育委員会や関係機関との連携など、いじめ問題に対する総合的な対策を盛り込んでいくことになります。

  具体的な内容については、今後検討委員会で議論していただきながら取りまとめていくことになりますが、例えば、いじめの未然防止という視点での取り組みでは、子供に内在する力や可能性を引き出す開発的な生徒指導の推進や、生徒指導の視点を学校経営計画に位置づけ、組織的に推進する取り組み、子供たちの自主的ないじめ防止の取り組みの推進といったことが重要になってくると考えております。

  また、いじめの早期発見・早期対応のための取り組みとしましては、各学校でのいじめアンケートの実施や、これまで県教育委員会が作成しました「いじめ対応マニュアル」や「学級経営ハンドブック」を活用した校内研修の実施が重要でありますし、ネット上のいじめを早期に発見し、対応につなげていくためのネットパトロールの実施といったことも検討が必要ではないかと考えております。こうした取り組みなども含め、いじめ防止に向けた総合的な対策を関係部局と連携しながら着実に進めてまいります。


修学旅行の誘致について

(桑名)
    本県では、観光立県を確立するため、400万人の観光客誘致を目標に観光政策を県政の柱として取り組んでおります。大河ドラマ龍馬伝放映以降も一定の観光客数を保っていることは、本県の魅力はもとより、観光施策が機能していることをあらわしております。ただ、現在の海、山、川の美しさや料理のおいしさなど、全国一律の魅力の売り出し方だけでは真の観光地にはなれないと思います。

  そこで本県は、今後の観光戦略の基盤となる観光政策を打ち出す必要があります。その基盤となるものの一つとして、修学旅行の誘致が考えられます。誰でも、幾つになっても、修学旅行のことを忘れることはありません。また、年を重ねるにつれ、若き日に訪れた修学旅行先を再度訪れたくなるものです。日本を代表する観光地は、修学旅行のメッカでもあります。

  私は先日、大手旅行会社の修学旅行担当者と意見交換をしてまいりました。その中で、「我が国では、古くから修学旅行が行われているが、時代とともにそのトレンドは変化しているのか」と聞くと、「航空機が利用できるようになったので、遠方へ行くことが可能となったが、修学旅行の目的自体は、歴史学習、平和学習が2大テーマとして変わらずに定着をしている。ただ、それだけで全日程を使うのではなく、それに体験学習を組み合わせる修学旅行が主流になりつつある」とのことでした。

  また、東京都、神奈川県、千葉県の中学・高校約3,300校、53万人の生徒を取り扱うこの会社が企画した高知県への修学旅行の実績を聞いたところ、高知県はもとより、四国への実績は年間数件でした。
  そこで、「修学旅行先になることの第1条件は何か」と聞いたところ、「海、山、川の存在そのものは、日本国中どこでも大同小異であり、なぜその地に行かなければならないのか、また、そこへ行って何を学ぶのかといったその動機づけとストーリーが必要である」とのことでした。高知でしか体験できないものは何か、高知でしか学べないものは何かを見つけ出さなければなりません。
  そこで考えられるのは、室戸のジオパークと自由民権の歴史学習が挙げられるのではないでしょうか。また、体験学習が今後のトレンドとして進んでいくのであれば、本県独自の農業体験、林業体験、漁業体験、スポーツ体験などのプログラムをつくることもあわせて進めていかなければなりません。民泊のできる体制を構築する必要もあります。地球を学び、自由民権を学び、高知ならではの生活体験や自然体験を満喫させるコースをつくれば、修学旅行の誘致合戦に参加する資格はできると考えます。

  修学旅行は大人数であり、予約が早い、定期的、平日に動く、対象が絞れる、キャンセルがないといったメリットがあり、現在、全国的な誘致合戦が繰り広げられております。克服しなければならない課題は多くありますが、これらを解決することで修学旅行の誘致のみならず、多くの観光客を満足させる本県観光の基盤を築くことができるのではないかと考えます。そこで、修学旅行の誘致に対する知事の御所見をお聞きいたします。



(知事)
現在、全国で実施されております修学旅行は、議員のお話のとおり、これまでの見学中心の名所旧跡をめぐるものから、学びと体験を組み合わせたものが主流になってきております。

  具体的には、歴史学習や平和学習に加え、キャリア教育として、農山漁村における生活や就労体験が求められておりますし、近年は社会情勢を反映しまして、環境学習や震災・防災学習も修学旅行に取り上げられるようになってまいりました。また、旅行先での滞在についても、ホテルや旅館への宿泊だけでなく、農山漁家での生活を体験する、いわゆる民泊による体験型の修学旅行が求められてきております。
  本県には、山、川、海の豊かな自然や農林水産業を体験できる数々の体験プログラムがあります。議員御指摘のような高知ならではの資源としまして、世界ジオパークに認定された室戸や自由民権発祥の地の歴史、風水力等の自然エネルギーを活用した環境保全の取り組み、南海地震に備えた防災対策など、修学旅行のテーマに活用できる多くの資源があると認識をいたしております。

  しかしながら、幡多地域を中心に、最近では高幡地域も加わって修学旅行の受け入れが進んではおりますものの、まだまだ全県的な広がりには至っておりません。その要因としましては、各地域の取り組みに温度差があることもありますが、何よりも受け手となる民泊の数が十分に確保できていないことが課題となっております。

  こうした課題を解決するため、体験型観光の専門アドバイザーによる現場指導や、地域のまとめ役となる広域観光組織の育成強化に努めております。さらに、昨年度から、東京事務所が首都圏の中学・高校に直接アプローチし、本年度には早速修学旅行を実施する高校が出てまいっております。また、大阪事務所でも、旅行会社へのセールス活動を展開しておりまして、県外事務所と連携した誘致にも力を入れております。

  その上で、体験型観光の先進県で開催をされます全国ほんもの体験フォーラム、これを平成27年度に本県で開催する予定で取り組んでおります。体験型観光の取り組みを全国に情報発信することで、修学旅行の誘致を初めとした観光振興、こちらの加速を図っていきたいと考えているところでございます。


(桑名)
現在、本県で進めているグリーンツーリズムやスポーツツーリズムの実態と、それらが今後修学旅行の誘致につながっていくものであるかどうか、観光振興部長にお聞きをいたします。



(観光振興部長)
  本県では、これまでも豊かな自然環境や独自の文化、農林漁業の体験を生かして、都市部から人を呼び込むグリーンツーリズムや、自然に親しみ自然を体感するスポーツツーリズムに取り組んでまいりました。

  グリーンツーリズムの受け入れ施設につきましては、山仕事や野菜の収穫、田舎料理体験など、ありのままの農山漁村の暮らしを体験できる民宿が77、紙すきや木工製作、カツオのたたきづくりなどの体験ができる交流施設が43、廃校を利用した宿泊施設が19、農家レストランが49あり、地域資源を活用した取り組みが県内各地で行われております。

  また、自然に親しむスポーツの体験ツーリズムにつきましては、四万十川や仁淀川でのカヌーや須崎市浦ノ内湾でのドラゴンカヌー、大豊町吉野川のラフティング、香南市夜須のシーカヤック、黒潮町の海釣りなどのメニューがあり、これらのツーリズムの素材は修学旅行にも生かされてきております。
  こうした2つのツーリズムを組み込んだ修学旅行の誘致に取り組むことは、本県ならではの豊かな自然環境や、強みである農林水産業が観光振興にも生かされますし、また、このことは、将来的には一般旅行の一層の誘致にもつながっていくと考えております。

  しかしながら、修学旅行の受け入れにつきましては、議員御指摘のとおり、全国的に地域間競争がますます厳しくなっている中で、本県の強みを生かした独自のプログラムづくりや民泊の拡充などが喫緊の課題となっております。このため、グリーンツーリズムやスポーツツーリズムを含む体験型観光アドバイザーによる研修を4年前から行っており、その中で、これらの課題を解決しながら、各市町村や観光関係団体とも連携して、これまで以上に修学旅行の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。