2月定例会本会議にて質問をおこないました。

知事の政治姿勢

◆桑名
  自由民主党の桑名龍吾でございます。議長のお許しを得、これより自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。本年度は地域経済を活性化し、若者が職を得て地元で豊かに暮らせる町をつくり、人口減少に歯どめをかけるための政策、いわゆる地方創生の始まりの年でありました。国の平成27年度地方創生関連予算も1兆円を超える予算規模であり、今後少なくとも5年間は1兆円の予算額を維持していく方針の国家的プロジェクトです。まさに地方の生き残りをかけた切り札となる政策とも言われております。
 全国の自治体はこぞって地方創生を進めるための総合戦略づくりを行っており、本県も平成27年3月に高知県版のまち・ひと・しごと創生総合戦略を全国に先駆けて策定したところです。また、県下全ての市町村において、今年度中には総合戦略が策定されます。本県の総合戦略は、これまでの産業振興計画や日本一の健康長寿県構想の取り組みの積み重ねもあり、完成度も高く、国からも高い評価をいただいております。
 今回の地方創生総合戦略は、これまでのように国の事業に合わせて自治体がプランをつくるのではなく、自治体みずからがプランをつくり、それに対し国が支援を行うものとなっております。この戦略を誰が策定し推進していくのか、その原動力となるのが産官学金労言と言われております。産は産業界、官は行政、学は教育界、金は金融界、労は労働界、言は地元をよく知るマスコミ。要は行政だけで取り組むのではなく、そこに住むあらゆる人たちが主役になって、新しい地方をつくり生み出していくものです。
 しかし実態は、地方では人材が不足しており、戦略策定もコンサルタント任せの自治体も全国的には多く見受けられると言われております。これでは我がまちづくりへの地域住民の意識も高まらず、政策の実効性も上がらないのではないかと危惧をしております。
 そこで、本県市町村の戦略の策定過程で課題はなかったのか、また今後市町村が戦略を推進する上で、県として留意していく事柄は何か、知事にお聞きをいたします。あわせて、この地方創生に各市町村とどのように連携をして取り組んでいくのか、その具体的な方策をお聞きいたします。


●知事
  市町村の総合戦略の策定過程における課題及び市町村が戦略を推進する上で県として留意していくこと、また市町村と連携した取り組みの具体的方策についてのお尋ねがありました。
 県内各市町村の総合戦略の策定状況をお聞きしますと、各市町村とも産学官金労言の有識者が参画した検討組織で十分に議論を重ねるとともに、地域住民の皆様と意見交換する場も設けるなど、多様な意見の集約と反映に意を用いられております。
 また、県としましても、各市町村が限られたマンパワーの中で、今年度中に、より成果につながる戦略を策定できるよう、産業振興推進地域本部がワンストップの相談窓口になるとともに、検討組織には県の地域産業振興監が参画するなど、きめ細やかなサポートに全力で努めてまいりました。
 県内市町村の中には、策定過程においてデータの整理等を外部業者に委託した団体もあるとお聞きをしておりますけれども、戦略の具体的な目標や施策などにつきましては、基本的に各市町村が地域の現状や課題をしっかりと分析した上で、有識者や各関係団体及び地域住民の御意見も十分に踏まえながら、みずからでしっかりと練り上げられたものだと認識をしております。
 今後、各市町村での総合戦略の実行に当たりましては、PDCAサイクルを有効に機能させ、4つの基本目標に向けて着実に成果を積み上げていただくことが重要ではないかと考えております。そのため、産業振興推進地域本部が引き続きワンストップの相談窓口として、必要に応じ戦略の実行に役立つ施策の御紹介やアドバイスをさせていただきますとともに、地域産業振興監が各市町村の戦略の推進組織に引き続き参画させていただきまして、戦略のPDCAをしっかりと回していくお手伝いをさせていただくなど、県としても各市町村の総合戦略の実行を全力でサポートしてまいります。
 また、本県における地方創生をなし遂げるためには、県と市町村の総合戦略がベクトルを合わせ、相乗効果を発揮していくことが何よりも重要であります。現状でも県と市町村の戦略とは基本目標の設定や戦略の組み立てなど、相当程度連携が図られていると考えておりますが、今後は例えば地域に根差した産業を核とする地域産業クラスターの形成など個別の新たな取り組みについても、より積極的に連携を進めてまいりたいと考えております。

◆桑名
 平成26年度国の補正予算において、地方創生先行型予算として編成された、地域における消費を喚起する交付金が交付されました。本県はこの交付金を一時的な消費喚起にとどまらず、今後の誘客や外商につなげるため、高知家プレミアム旅行券5億6,000万円、アンテナショップまるごと高知で利用できるまるごと高知プレミアム商品券2,700万円を発行、販売する事業として、2月補正で予算化しました。それから1年たった今、これらの事業による効果をどのように感じているのか、知事にお聞きをいたします。


●知事
  高知家プレミアム旅行券とまるごと高知プレミアム商品券による効果についてお尋ねがありました。
 高知家プレミアム旅行券とまるごと高知プレミアム商品券につきましては、地域の消費喚起や生活支援を目的とした国の交付金を活用しつつ、地域における消費の拡大はもとより、事業終了後においても観光客の誘客や外商の拡大につながるように工夫を凝らしました。
 まず、高知家プレミアム旅行券につきましては、多くの自治体が宿泊料金の割引に利用できる宿泊券として展開する中、本県では県内全域への周遊促進やリピーターにつなげていくことを目的として、龍馬パスポートつきとしてこれと連動させ、県内の幅広い地域で宿泊のほか食事、買い物、施設への入場料などにも利用できる額面1万円の旅行券として、昨年5月から9月までの間、7万9,400枚を完売いたしました。旅行券の販売に際しては、首都圏や関西圏、中四国エリアなどで大きくPRしたこともありまして、利用者へのアンケート調査では、全体の約8割が県外にお住まいの方となっておりますし、新たに3万3,000人の方に龍馬パスポートを発行するなど、県内周遊の促進や再び高知を訪れていただけるきっかけになったと考えております。
 また、現在精査中ではありますが、利用者1人当たりの消費額は約3万5,000円、利用者全体の県内での消費額は27億円を超える見込みとなっておりまして、これらは旅行券事業に参加していただいた約440施設のほとんどで使用されており、県内全域に経済的な効果があったものと考えております。
 まるごと高知プレミアム商品券につきましては、額面1,000円の商品券として、昨年7月から10月までの間、7万5,000枚を完売いたしました。まるごと高知の昨年7月からことし1月までの実績を前年同時期と比較しますと、来店者数は4.3%増、売り上げは10.4%増となっており、お酒などふだんはなかなか手が伸びにくい高額な商品をお試しいただくなど、首都圏の多くの方々に本県の産品や食材を知っていただくきっかけになったのではないかと考えております。
 以上のように今回の交付金を活用した事業は、県内での消費喚起に効果をもたらし、今後の誘客や外商活動にもつながるものと考えております。


◆桑名
 安倍政権が進めるいわゆるアベノミクスと本県の産業振興計画の成果が相まって、本県の経済指標は着実に上昇をしております。有効求人倍率も、高知労働局が本日発表したデータによりますと、昨年のデータが季節調整値変えされており、昨年の最高倍率は11月と12月の1.01倍でしたが、本年1月の最新倍率では1.05となり、さらに過去最高を更新しました。日銀高知支店は、高知県の景気は平成26年3月から23カ月連続で緩やかに回復していると景気判断をしております。また、法人二税の税収は、平成24年度85億円、25年度98億円、26年度123億円と増加をし、27年度も昨年度を上回る状況であるとお聞きをしております。
 知事はこの景況感をどう捉え、また今後の本県の経済動向をどのように見ているのか、お聞きをいたします。あわせて、平成27年度の法人二税の税収見込み額をお聞きいたします。


●知事
 県内の経済動向に対する認識と平成27年度の法人二税の税収見込み額につきましてお尋ねがございました。
 本県経済は、過去において全国の景気の回復と連動できないといった構造的な課題もありましたが、これまでの地産外商戦略を柱とする産業振興計画の取り組みによる一定の成果も一部にあり、さらにはアベノミクスによる全国的な景気回復の効果もあって、全体としては、よりよい方向に向かっているのではないかと考えております。
 議員のお話にもありましたように、季節調整値がえされた有効求人倍率は、昨年11月と12月に1.01倍と1.0倍を超える過去最高となり、本年1月には1.05倍とさらに更新するとともに、雇用者の1人当たりの現金給与総額指数も、昨年2月以降、ほぼ前年を上回る値で推移しており、雇用・所得環境において明るい状況が定着しつつあります。また、日本銀行高知支店が3カ月ごとに公表している日銀短観では、企業の自社の業況判断を示すDIは、昨年12月公表分まで9四半期連続でプラスとなり、引き続き高水準を維持しています。
 このように着実に回復している景気動向を反映して、法人二税の税収も平成25年度、26年度と順調に伸びてきており、お尋ねの平成27年度法人二税の2月補正後の額も、昨年12月までの実績をもとに法人県民税27億円、法人事業税110億円、前年度決算額比12%増の合わせて137億円を見込んでおります。
 今後の本県の経済動向につきましては、昨年12月公表の日銀高知支店の短観では、平成28年1月から3月までのDIの先行きはプラスとなっていますが、中国など新興国経済の減速や年明け以降の世界の金融市場の不安定な動きなどの全国的なリスク要因もあります。さらに、本県には中山間地域を初めとする地域間の格差や企業の休廃業、担い手不足など、生産年齢人口が減少を続ける中で、さまざまな課題は依然として残っています。このため、全国的なリスク要因を注視しますとともに、本県のさまざまな課題に対応するため、さらにバージョンアップした第3期の産業振興計画にしっかりと取り組んでまいりたいと、そのように考えておるところであります。


◆桑名
 しかし、経済指標の数値では、景気は着実に回復している状況が続いているにもかかわらず、県民の景気回復の実感はないとの声も聞こえてまいります。また、本県の景気回復は、まだ一部の業種に限られているのではないかとの声もあります。法人二税の税収の内訳を分析すれば、業績が伸びている業種とそうでない業種が判断できると思います。法人二税などから見た県内産業の業種別、また規模別の景気状況を知事にお聞きいたします。


●知事
 県内産業の業種別、規模別の景気状況についてお尋ねがございました。
 業種別、規模別の比較が可能な法人事業税につきまして、平成26年度と平成27年度を比較しますと、業種別では30に区分した業種のうち24業種で増収となっております。このうち、サービス業は4億円余りの増収となり、増収全体の3割を占めておりますほか、銀行業、建設業、小売業など5業種で増収額が1億円を超えております。
 法人規模別では、資本金1億円を超える普通法人については21%の増、それ以外の法人は15%の増となっております。また、県内・県外別では、県内法人6%の増に対しまして、県外法人では30%の増となっております。
 なお、法人県民税の申告状況によれば、黒字法人の割合は増加傾向が続いておるところでございます。


◆桑名
 政府は、平成28年度税制改正において、地方創生などを後押しする内容を盛り込みました。本県の基本政策を進めるには追い風の税制改正と考えますが、今回の税制改正について知事の御所見をお聞きいたします。


●知事
 平成28年度税制改正についてお尋ねがございました。
 平成28年度与党税制改正大綱では、地方の人口減少を深刻な問題と捉え、地方創生を実現するために、地方分権のさらなる推進と、その基盤となる地方財源の充実確保を図ることが重要であるという基本的な考え方のもと、地方法人課税の偏在是正措置が講じられたほか、地方に本社機能等を移転する際の特例の拡充や地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税の創設が講じられたところであります。
 これらは、全国知事会を通じて要望してきたものであり、本県の課題解決に向けた取り組みを後押しするものとして評価をしております。
 また、同大綱において、森林整備等の財源に充てる税制として、仮称ではありますが、森林環境税等の新たな仕組みを検討することとされ、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保の方向性が示されたところであります。今後、国において地方の意見をしっかりと踏まえて制度設計されることを期待しております。


◆桑名
 消費税率10%の引き上げに当たり、平成29年度から地方法人税が拡充され、地域間の税収のアンバランスを是正する措置が強化されることとなります。
地方法人税の拡充に伴い、経済活動が活発な都市部から自主財源に乏しい自治体への財源の配分額は、現行の6,000億円から8,000億円増額し、1兆4,000億円とするとされておりますが、このことによる本県への影響をどのように考えているか、知事にお聞きをいたします。


●知事
 地方法人税の拡充に伴う本県への影響についてお尋ねがございました。
 地方法人税は、法人住民税法人税割の一部を国税化し、その全額を地方交付税の原資とするものであり、消費税率が8%へ引き上げられることに合わせて、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力の格差の縮小を図るために創設をされました。
 今回の改正は、消費税率が10%へ引き上げられるに際して、さらなる税源の偏在是正などを図るため、この地方法人税の税率の引き上げ等を行うものであります。
 この一連の制度改正では、国税化された法人税割の全額を交付税の原資とすることにより、税源の偏在是正が図られるだけでなく、交付税の不交付団体における法人税割の減収見込み額についても交付税の原資とすることにより、交付団体における一般財源総額の増額も同時に図られているところであります。消費税率の10%への引き上げに伴う今回の改正による影響額は、不交付団体の減収額が示されていないため試算が困難なところではありますが、消費税率8%段階の税収が平年度化する平成28年度の影響額について、法人税割の交付税原資化の部分に限り試算を行ったところ、法人税割の税収が8億円の減収見込みとなる一方で、交付税収入が約20億円の増収見込みとなったところであります。
 こうした改正につきましては、かねてから地方創生の推進に向けて地域間の税源の偏在性を是正すべきとして、全国知事会を通じて要望を行ってきたものであり、財政力の弱い本県のような地方にとりましても評価できるものと考えております。


◆桑名
 地方の活性化を図るため、企業版のふるさと納税が創設されました。これは、法人が地方自治体が行う地方創生事業に対し寄附をすると、法人事業税、法人住民税、法人税の3税が軽減されるものです。個人のふるさと納税に加え、法人から地方への寄附を促し、まさに地方創生を後押しするものです。
 個人のふるさと納税と同様、企業版ふるさと納税も地域間競争が予想されます。本県市町村においても、地方創生につながる魅力ある事業を全国の企業に発信していかなければなりませんが、今後県として企業版ふるさと納税にどのように取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。


●知事
 企業版ふるさと納税にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。
 今回創設される企業版ふるさと納税については、首都圏等の企業が各地域の地方創生の取り組みに寄附をする大きな後押しとなるものでありまして、本県としても積極的に活用してまいりたいと考えております。
 議員御指摘のとおり、今後企業からの寄附の獲得について、地域間の競争が激しくなることも想定されますことから、本県としては地方創生に係る多様な政策メニューを持っているという優位性も生かしつつ、十分に活用の戦略を練って対応してまいります。
 具体的には、税制上の優遇措置の対象となる地方創生事業について、本県が他県に先駆けて実施している事業などを中心に、例えばCSRといった観点から寄附を行う企業にメリットを感じていただけるような事業を戦略的に選定してまいります。また、例えば企業ごとに重点的にPRする事業を戦略的に設定する、あるいは県人会等のネットワークを生かし、高知県にゆかりのある企業に特に重点的に働きかけを行うなど、より効果的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 さらに、県内市町村の中には、既に企業版ふるさと納税の積極的な活用を検討されている市町村もあるとお聞きをしており、企業に対する情報発信等について、制度を活用する県内の市町村とも十分に連携を図ってまいります。また、国に対しましても、効果的な情報発信の仕組みなどについて、積極的に政策提言を行ってまいりたいと考えているところであります。

憲法改正について

◆桑名
  憲法改正についてお伺いをいたします。
 憲法改正の議論が活発になってまいりました。安倍首相も今国会において、大規模災害や感染症の拡大など、緊急時に国民の安全を守るため、国家、国民がどのような役割を果たしていくべきなのかを憲法にどのように位置づけるかは、極めて重く大切な課題であると緊急事態条項の創設について言及をしました。
 また、国会の憲法審査会では、新設する条項を盛り込んで検討していく方向を示しております。さらに、憲法改正の早期実現を求める意見書や決議が33都府県で可決をされ、また美しい日本の憲法をつくる国民の会主催の憲法改正賛同者署名は、国会議員427名と賛同者が拡大をしております。全国知事会においても、憲法における地方自治のあるべき姿をいま一度議論しており、今後知事会として考え方を国に打ち込んでいく意向を示しております。
 具体的には、地方自治の基本原理や参議院選挙区における合区の問題が議論のテーマとして上げられております。また、緊急事態条項、環境権などについても検討する方向で進んでおります。まさに憲法改正の是非の議論から、改正に向けた現実具体的な段階に入ってまいりました。
 知事も昨年の衆議院憲法審査会の地方公聴会で、緊急事態条項、地方自治の基本原則、参議院選挙区問題の憲法議論を求めております。知事は現在のこのような議論の高まりについてどのように感じているのか、お聞きをいたします。また、全国知事会における憲法改正議論の現状とその方向性についてお聞きをいたします。



●知事
 憲法改正議論の高まり、また全国知事会における憲法改正議論の現状と方向性についてお尋ねがございました。
 憲法改正については、議員のお話にもございましたように、国会においてもさまざまな議論が行われており、国及び地方においてその議論が活発化しております。今後ますます人口減少や高齢化が進み、国、地方を挙げて地方創生に取り組まなければならない、ゆえに地方自治の重みが増していく中で、参議院選挙制度の問題も含め、憲法における地方自治のあり方の議論を深めることは意義のあることだと考えております。
 また、甚大な被害が想定される南海トラフ地震を避けることができない高知県の知事として、後ほども申し上げますが、憲法における緊急事態条項についても徹底的に議論をしていただきたいと思っており、憲法改正の議論の高まりには期待をしているところであります。
 こうした中、全国知事会では、いわゆる参議院選挙区における合区問題などを受け、昨年10月、全国知事会総合戦略・政権評価特別委員会のアドバイザー組織として、有識者による憲法と地方自治研究会が設置され、現在憲法問題に関する議論が行われています。これまで開催された2回の研究会では、まず地方自治の基本原則と参議院選挙区における合区問題が議論され、合区問題については、憲法改正を含め、公職選挙法の改正、憲法解釈、この3つの観点から検討が行われています。また、今月4日に開催される第3回の研究会では、合区問題等に係る報告の素案や自治財政権、大規模災害に伴う緊急事態条項について議論する予定であり、この春をめどに合区問題等について取りまとめを行うこととしております。
 全国知事会としましても、研究会の取りまとめも踏まえ、特別委員会を開催するなどして知事による議論を行う予定であり、私自身、積極的にこの問題にかかわってまいりたいと考えているところであります。


◆桑名
 地方公聴会において南海トラフ地震に備えた緊急事態条項の必要性も述べられましたが、具体的にどのような条項が必要と考えているのか、お聞きをいたします。



●知事
 南海トラフ地震に備えた緊急事態条項について、どのような条項が必要と考えているのかとのお尋ねがありました。
 南海トラフ地震が発生した場合は、最悪で死者数約32万人、避難者数約950万人、経済被害約220兆円に上り、死者数では東日本大震災の約16倍、経済被害では国の予算の2倍を超えることが内閣府の被害想定で示されており、国家の存亡にかかわる緊急事態となることも考えておかなければなりません。
 このような極めて重大な緊急事態においても、国民の生命や財産を守るという危機管理上の観点からは、応急対策を行うための速やかな法整備と予算措置、また応急救助活動の際に必要になる私権の制限という2つの対応が特に重要な課題であると考えております。
 東日本大震災においては、国会を開催することができたため、地方選挙など各種の特例に関する法律の制定や補正予算の編成などを行えましたが、30都府県にわたって被害が及ぶと想定されています南海トラフ地震では、参議院の緊急集会を含め定足数を満たす国会の開催が可能なのかということなどを憂慮しております。このため、国会議員の任期や選挙期日の特例、さらには緊急時に法律制定や補正予算決定と同等の効果を有する権限を政府に付与するための根拠規定を、憲法に規定する必要があるのではないかと考えております。
 また、国民の生命や身体を守るためには、憲法上の財産権、居住・移転の自由といった私権を制限してでも、迅速な応急救助活動を行わなければならない事態が想定されます。一方、緊急時に名をかりた過剰な人権制限を防ぐ必要があることにも鑑みれば、大規模災害時に及び得る人権制限を憲法に限定的に規定することを検討していくべきではないかと考えております。
 いずれの観点からも、憲法における緊急事態条項について、国会で徹底的に議論していただくとともに、国民的な議論につながることを期待したいと考えております。

産業振興計画について

◆桑名
  産業振興計画についてお伺いをいたします。
 産業振興計画は、平成21年、本県が抱える根本的な3つの課題、1つは人口の減少により縮小を続ける県内市場、2つ目は産業間連携の弱さ、3つ目は強みである第1次産業さえも弱体化しているという課題に正面から向き合い、解決を図るために策定をされました。
 私は、平成23年9月定例会本会議において知事に、「加速化という言葉をよく使っているが、産業振興計画は現在飛行機に例えれば、滑走路を走り上昇に向けて加速をしているところなのか、または滑走路から今まさに飛び立とうとしているところなのか、はたまた離陸をして上昇のためにさらに加速をしている状況であるのか」をお聞きいたしました。知事はこの問いに対し、「乗員が決まり、飛行計画を練り、燃料を補給し、乗客を乗せ、数々のチェックを経て、飛行機が滑走路を走り、今まさに離陸した直後であり、これから加速をし、上昇を目指していく段階ではないかと考えている」と答えられました。この質問から5年間がたち、産業振興計画も農林水産業、商工業、観光、食品産業、移住促進など各分野の目指す目標に向かって着実に成果を上げ、前進をしております。
現在策定中の第3期計画では、地産と外商をそれぞれ強化し、その成果をより力強い拡大再生産の好循環へとつなげていくとしておりますが、改めて飛行機に例えるならば、今はどのような飛行状況と考えるか、また巡航高度にはあとどれくらいの時間で到達すると考えているのか、知事にお聞きをいたします。

 
●知事
 第3期産業振興計画を飛行機に例えるならば、今はどのような飛行状況で、巡航高度にはあとどのくらいの時間で到達すると考えているのかとのお尋ねがありました。
 今の状況を改めて飛行機に例えますと、第1期の計画で無事に離陸し、その後第2期の計画により、さらに加速しながら上昇を続けている状況ではないかと思っております。
 これまでの取り組みにより、地産外商が飛躍的に拡大しましたし、官民挙げた移住促進の取り組みも大きな成果を上げているところであります。また、第2期計画で新たにスタートした防災関連産業やCLT関連産業、コンテンツ産業などの振興も前進しつつあります。さらに、ものづくり地産地消・外商センターや産学官民連携センター、事業承継・人材確保センターなど、新たな仕組みを構築し、それぞれがサポート機能を発揮し始めているところであります。また、地域に目を向けますと、地域アクションプランで新しい産業が各地に生まれておりますし、地域博覧会などを通じて新たな旅行商品も数多く誕生しております。
 これらの成果もあって、長年にわたって生産年齢人口の減少とパラレルに減少傾向にあった各分野の産出額などが、生産年齢人口の減少にもかかわらず上昇傾向に転ずるとともに、長らく0.5倍程度であった有効求人倍率も上昇し、悲願であった1.0倍を超えたところであります。こうした状況を見ますと、おおむね順調に加速度を持って上昇を続けていると言えるのではないかと考えております。
 しかしながら、おおむね順調とはいえ、いまだ人口減少による負のスパイラルという厚い雲の中を上昇中であり、国内ではこれまでこの厚い雲を抜け出した飛行機は過去にはないことから、引き続き厳しいチャレンジを続けている状況にあるものと考えています。さらには、当面は人口減少が進む中で、ここで気を緩めると、地産外商のさらなる拡大に向けた取り組みも一過性のものとなってしまう、すなわち飛行の高度が降下に転ずるリスクも引き続き抱えている状況だと認識しております。したがって、第3期の産業振興計画においては、地産と外商の取り組みをさらに強化するとともに、力強く拡大再生産の好循環につなげるための施策群を大幅に強化したところであります。
 お尋ねのありました巡航高度への到達とは、持続的な好循環のループに乗せることができた段階を指すものだろうと思っております。今後はさらなる官民協働により、何とか第3期の期間中にはそのめどがつけられるところまで到達したいと考えておるところであります。


◆桑名
 第3期計画の目指す将来像は、2期計画に引き続き地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県としております。そして、これを実現するための戦略の一つとして、地域産業クラスターを形成し、各産業分野での拡大再生産を図ることとしております。
 一般的に、産業クラスターを形成するには、人材を含めた地域独自の資源や需要の存在、関連産業や支援機関、クラスターを構成する企業の戦略や競争環境などが整っていなければならないとされておりますが、これまでの産業振興計画の成果で各産業分野や地域において、これらクラスター形成に向けての基礎的な条件は育ってきているのか、またはこれから育てていかなければならない段階であるのか、知事にお聞きをいたします。

 
●知事
 産業クラスター形成に向けた基礎的な条件は整ってきているのか、あるいはこれから整えていかなければならない段階であるのかとのお尋ねがありました。
 本県の目指す地域産業クラスターは、本県の強みである第1次産業など地域に根差した産業を核として、関連する産業の集積を図る取り組みであります。この第1次産業など地域に根差した産業を核とすることで、県内のどの地域でも展開できる可能性があり、かつ関連する産業の集積により多様な仕事を生み出せることから、若者の地域への定着や中山間地域の維持・再生に大きく寄与し得る取り組みであると考えております。
 これまでの産業振興計画の取り組みを通じて、農業分野では、新技術を導入した次世代型こうち新施設園芸システムの普及を開始いたしましたし、水産業分野では、養殖漁業の振興により加工の取り組みが活発になってまいりました。また、林業分野では、森の資源を余すことなく活用する仕組みが整いつつあるところであります。さらに、地域アクションプランでは、農林水産物などの地域の資源を生かした新たな加工や販売などの取り組みが進んでまいりましたし、観光資源の磨き上げや旅行商品づくりなどを通じて、地域を訪れる観光客もふえてまいりました。
 こうした状況が各地で生まれ、今後さらに力強く展開することが一定見込まれる状況になってまいりましたので、そうした意味では、地域産業クラスターの形成に向けた基礎的な条件が一定整いつつあると考えております。現時点では、特に条件が整っていると判断される産業成長戦略の取り組みを土台とした9つのプロジェクトと、地域アクションプランの取り組みを土台としたやや小規模な7つのプロジェクトの推進を予定しているところであります。
 こうしたプロジェクトを県内全域に広げていくためには、課題もあると考えております。クラスターにより生み出される商品やサービスの販売先を確保していく必要があることは当然でありますし、クラスター化を図っていく上で、地域に取り組む事業者がいない場合は、公募して外から呼び込むことも必要であります。さらに、担い手不足が一層深刻となる中で、人材をいかに確保していくのかという課題も想定されます。
 今後、産業団体や市町村などさまざまな機関の皆様の御協力も得ながら、地域地域でのクラスター形成に向けたさらなる条件整備を進めてまいりたいと考えております。


◆桑名
 クラスターの形成に向けては、地域住民、民間事業者、市町村、関連企業、支援団体などとの連携が不可欠ですが、県としてこの連携に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。


●知事
  産業クラスターの形成に関して、民間事業者や市町村などとの連携に向けどのように取り組むのかについてお尋ねがございました。
 地域産業クラスターは、地域に根差した産業の集積を目指す取り組みであります。具体的には、第1次産業から第3次産業までの事業者や関係者が、地域の産品や人材、技術などの資源を最大限に生かして、お互いの強みを有機的に結びつけながら、地域地域において生産から加工、販売までの各段階での付加価値を積み上げる新たな仕組みづくりであると考えております。
 このような仕組みづくりを進めていくためには、関連する事業者や市町村が有機的に連携して、相乗効果を生み出すことが重要となってまいります。
 このため、まずは県庁内にワンストップの相談窓口を設け、クラスター形成を支援する専門コーディネーターを配置して、さまざまな御相談に応対をしながら、関係の産業団体の協力などを得て、クラスターの形成が見込まれる案件に関する情報の集約を行います。その中から実現性の高い案件を抽出し、意欲ある事業者や市町村などの皆様の参画を広く募ってまいります。
 次に、応募のあった事業者や市町村などが行うクラスターの形成に向けた具体的なビジネスプランづくりを支援してまいります。その過程で、県としてもクラスターを構成する産業群が厚みを増し、付加価値がさらに向上するよう、第1次産業から第3次産業までの事業者を幅広く追加的に募ってまいります。
 さらに、ビジネスプランを実行する段階では、県や市町村、関係の産業団体、専門コーディネーターなどで構成するプロジェクトチームを設置し、第1次産業やものづくり、販路開拓、企業立地などの各支援策を講ずるなど、クラスターの形成に向けてきめ細やかなサポートを行ってまいります。クラスター案件の掘り起こしからプランの策定、実行に至るまでの一連の取り組みを通じまして、さまざまな主体や関係者が連携したクラスターの形成を目指してまいりたいと考えているところであります。


◆桑名
 今後も当面の間、一定の人口減少は避けられず、生産年齢人口も減少し続ける中、これまで7年間の各分野での取り組みの成果の上に立って、さらに高い数値目標を設定し、これを実現していくことは相当ハードルが高いことも予想がされます。今後、このハードルを乗り越えていくために克服しなければならない課題は何か、また課題の克服のために何が必要となるのか、知事にお聞きをいたします。


●知事
 産業振興計画を推進するに当たり克服しなければならない課題とは何か、またこの課題の克服のために何が必要であるのかとのお尋ねがありました。
 産業振興計画では、地産外商を戦略の柱に掲げ、官民協働で全力を挙げて取り組んできた結果、地産と外商がともに拡大をしてまいりました。しかし、この流れをさらなる地産の強化に向かわせ、地産が強化されることによって外商がさらに拡大していくという拡大再生産の力強い好循環が生まれる状況には、いまだ至っておりません。第3期計画で掲げる各分野の高い数値目標のハードルを乗り越えるためには、やはりこの拡大再生産の力強い好循環を生み出していくという課題を、何としても克服していくことが大切であると強く感じております。
 そして、この拡大再生産をなし遂げるためには、地産外商の取り組みについて時間軸をつなぎ、点を面にし、そして健全な新陳代謝を可能としていくことが必要であると考えておりまして、このために第1に担い手の育成・確保、すなわちこれは時間軸的な拡大再生産を目指す取り組みを進め、第2に地域産業クラスターの形成、すなわち量的な拡大再生産を目指す取り組みを進め、そして第3に起業や新事業展開の促進、すなわち質的な拡大再生産を目指す取り組みを進めていこうとしているところであります。
 以上の3つのポイントによる拡大再生産に向けた強化策は、先ほどの飛行機の例でいいますと、人口減少の負のスパイラルという厚い雲を抜け出すために必要な施策群であります。第3期計画で掲げる数値目標の達成、さらにその先の地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現に向けまして、これらの強化策に全力で取り組んでまいりたいと考えるところであります。

健康長寿県構想について

◆桑名
 健康長寿県構想についてお伺いをいたします。 県民が健やかで心豊かに支え合いながら生き生きと暮らすことのできる県づくりを目指し、平成22年、県は日本一の健康長寿県構想を策定しました。そして、平成24年にはこれを第2期構想へとバージョンアップを図り、その取り組みを一層加速化させました。
 第2期構想では、4年後の平成27年度末、10年後の平成33年度末の目指す姿を明らかにし、県民の皆様との成功のイメージの共有を図ることとしております。
 第2期構想では、県民みずからが病気を予防し生涯を健康に暮らす、県民とともに医療環境を守り育てる、また、ともに支え合いながら生き生きと暮らす高知型福祉の実現を3つの大きな目標として、さまざまな施策を実施してまいりました。
 そこでまずは、平成27年度末を迎えるに当たって策定当初に予定していた構想の狙いどおりに取り組みが進められたのか、第2期構想の総括について知事にお聞きをいたします。



●知事
 第2期の日本一の健康長寿県構想の総括についてのお尋ねがありました。
 私が知事に就任した当時、40歳から64歳までの壮年期男性の死亡率が全国平均と比べて2割以上も高い、若手医師が減少を続けて医師不足が深刻化している、さらには人口の減少と高齢化が進行し、地域での支え合いの力が明らかに弱まっているなど、本県の保健・医療・福祉の分野では対応が困難な課題を数多く抱えておりました。
 これらの課題解決のため、平成22年には第1期の日本一の健康長寿県構想、また24年には第2期の構想を策定し、関係機関や市町村、また県民の皆様とともに取り組みを続けてまいりました。
 その結果、多くの分野で一定の成果が出てきているところであります。例えば保健の分野では、がん検診における対象者への個別通知や未受診者への再勧奨を初め、複数のがん検診が一度に受診できるセット検診日の拡大や特定健診との同時実施など、受診の利便性向上に努めてまいりました。
 また、健康づくり団体や高知家健康づくり支援薬局と連携した直接の働きかけによる受診勧奨を進めてまいりました。その結果、いずれのがん検診や特定健診も受診率は上昇し、特に肺がん検診は目標の50%を超えて52.4%まで到達をしました。
 こうした取り組みの結果、壮年期男性の人口10万人当たりの年齢調整死亡率は、全国平均を上回る人数が平成21年には92人であったものが、昨年には28人とおよそ3分の1以下まで改善したところであります。
 また、健やかな子供の成長・発達の確認のために欠かせない乳幼児健診についても、市町村が実施する未受診児への受診勧奨や、より有意義な健診への取り組みに対する支援、また受診促進の取り組み強化などによりまして、1歳6カ月児と3歳児の受診率は、26年には21年と比較して10%以上改善をいたしました。
 医療の分野では、奨学金制度の導入や高知医療再生機構を通じた若手医師のキャリア形成支援などに取り組みました結果、21年度当初には36人まで減少していた初期臨床研修医が、28年度には60人以上の採用が見込まれるまでに回復しており、また減少を続けていた安芸・幡多保健医療圏の医師数が26年には増加に転ずるなど、医師不足の状況に改善の兆しが見られるようになりました。
 救急医療におきましても、平成23年3月に導入したドクターヘリは、23年度に375件であった出動件数が26年度には550件までに伸び、また27年度からは、救急車の搬送実績情報や傷病者の情報を医療機関と救急隊でリアルタイムに共有できる仕組みを導入することにより、連携体制を充実させてまいりました。
 福祉の分野では、地域の支え合いの力を意図的、政策的につくり出す高知型福祉の推進拠点となるあったかふれあいセンターが、サテライトを含めますと県下の230カ所以上で活動が展開されるなど、中山間地域を中心に支え合いのネットワークづくりが進んでまいりました。
 また、少年非行の防止対策につきましては、高知家の子ども見守りプランの推進に取り組んでまいりました結果、過去には3年連続で全国ワースト1位であった少年非行率が、平成26年にはワースト13位まで改善をしております。
 さらに、全国平均を大きく上回っていた自殺死亡率では、地域ぐるみの自殺防止に向けた普及啓発活動や相談支援体制の充実強化などに取り組み、警察庁の統計データでは、自殺者数が平成24年の214人から平成27年度の暫定値で115人へと減少し、死亡率のほうは10万人当たり28.17人から15.39人となり、全国平均の18.74人を下回る見込みとなっています。
 しかしながら、働き盛りの世代の死亡率が依然として高く、また少子高齢化が進む中で、過疎化が深刻な中山間地域などでは、医療や介護などのサービスの提供に人材の確保面も含めて支障が生じてきているほか、県内で一定数の子供たちが、家庭の教育力や地域社会の見守り機能の低下などを背景に厳しい環境に置かれるなど、これまでの取り組みを通じて、その深刻さがより明らかになってきた根本的な課題があるものと考えております。このため、第3期構想を策定して対応していこうとしているものであります。


◆桑名
 平成28年度からは、第2期構想で得られた成果と課題を検証した第3期構想を推進することとなりますが、第3期構想は、県民誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる県づくりの実現を目指し、5つの柱から組み立てられ、第1は壮年期の死亡率の改善、第2は地域地域で安心して住み続けられる県づくり、第3は厳しい環境に置かれている子供たちへの支援、第4は少子化対策の抜本強化、そして第5は医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化となっており、第2期構想に比べますとより具体的で、構想の全体像がイメージしやすいものになっていると考えます。
 特に、第3期構想では、県民の健康意識をさらに醸成させるため、新たに高知家健康パスポート事業に取り組むこととしております。この事業は、検診や健康イベントへの参加など健康づくりにみずから取り組みポイントをためていけば、協力店舗で料金の割引などポイントに応じた特典を受けることができ、結果的に県民の健康を増進する仕組みとなっております。県民の健康づくりに一定の弾みがつくものと期待をしております。
 ただ、この事業は、日ごろから健康に関心のある方は積極的に活用して健康に対する意識を一層高めるでしょうが、健康に関心を持たない方々は、笛吹けど踊らずの状態になるのではないかと懸念をしております。こうした、日ごろから自分の健康に関心を持たない方々に、どのように啓発をして積極的に事業に参加してもらうかなど、課題もあろうかと思います。
 また、地域地域で安心して住み続けられる県づくりでは、住まいと福祉、介護などのサービス提供機能が一体となった複合施設の整備を行うこととしております。この事業は、あったかふれあいセンターと医療・介護サービスの提供を行う民間事業者との連携を必要としておりますが、具体的にどのような整備をしていくのかなど、これもそれぞれにおいて課題もあろうかと考えます。
第3期構想が目指す平成37年度末の姿の実現に向けて今後どのような対策を講じていくのか、懸念される課題なども含めて知事にお聞きをいたします。



●知事
 第3期構想が目指す姿の実現に向けた課題や対策についてのお尋ねがありました。
 第3期構想は、5本の柱立てにより重点的かつ骨太な対策を講じていくこととしております。
 まず、第1の柱、壮年期の死亡率の改善では、県民の皆様の健康づくりや疾病予防のため、全ての小・中・高等学校において副読本を活用した健康教育の充実を図りますとともに、健康づくりの県民運動、ヘルシー・高知家・プロジェクトにより、健康意識のさらなる醸成と行動の定着化を目指してまいります。
 また、壮年期の死亡原因の多くを占める血管病やがんを早期に発見し、治療に結びつけるため、引き続き特定健診やがん検診の受診勧奨を初め、特定保健指導の実施率向上に取り組みます。加えて、人工透析の導入につながる糖尿病の重症化予防などを強化してまいりたいと考えています。
 こうした重点的な対策の中で、健康づくりの核となる高知家健康パスポート事業につきましては、議員御指摘のとおり、無関心層へのアプローチが課題と受けとめております。健康づくりに関心を持たれていない方々に、まずは健康パスポートを持ってみたいと思っていただけるように、市町村や健診機関はもちろんのこと、できるだけ多くの協賛企業に啓発や特典の提供について御協力をいただき、魅力のあるものにしてまいりたいと考えております。
 さらに、職場ぐるみの声かけなど職場、職域での積極的な取り組みを通じて、広く県民の皆様に健康パスポートを手にしていただけるよう取り組んでまいります。
 第2の柱、地域地域で安心して住み続けられる県づくりでは、これまであったかふれあいセンターを中心に進めてまいりました高知型福祉のさらなるバージョンアップを図ることにより、地域住民の皆様の在宅生活の希望をかなえてまいりたいと考えています。
 具体的には、クオリティー・オブ・ライフの向上へとつながる介護予防サービスの充実強化や認知症カフェの設置、さらには複合的な福祉サービスの提供などといったあったかふれあいセンターの機能強化を中心に、在宅医療、介護、福祉、住まいの整備などによる包括的なネットワークづくりを進めてまいります。
 また、不採算となる地域の訪問看護サービスへの支援や、高知県立大学での訪問看護師育成など、訪問看護の提供体制を充実させるとともに、在宅療養を希望する入院患者が適切なリハビリを受けられるよう、回復期機能を担う病床の確保など、在宅医療への円滑な移行を支える医療資源の充実に努めてまいります。
 さらに、新たな専門医制度への移行を念頭に、県中央部と中山間地域の中核的医療機関で勤務しながら、総合診療専門医などの資格を取得できる環境を整備するなど、地域の医療提供体制の核となる医師確保を図ってまいります。
 第3の柱、厳しい環境にある子供たちへの支援では、学力の未定着や虐待、非行、いじめなどで困難な状況に直面している子供たちへの支援策の抜本強化に取り組んでまいります。中でも、妊娠期から乳幼児期にかけては、子供たちの命の安全・安心を守るため、市町村に子育て世代包括支援センターを設置し、支援の必要な家庭へのフォローを通じて児童福祉につなげる、すなわち母子保健と児童福祉をつなぐ仕組みづくりを行いますとともに、市町村の要保護児童対策地域協議会などを中心に、民生委員や児童委員と連携した地域での見守り体制の構築など、市町村の取り組みを支援していきたいと考えています。
 第4の柱、少子化対策の抜本強化に向けた取り組みでは、結婚支援や子育て支援、さらにはワーク・ライフ・バランスの推進などを中心に、ライフステージの各段階に応じた取り組みのもう一段の充実強化を図るとともに、高知県少子化対策推進県民会議において取り組み目標の進捗管理を行いながら、官民協働の県民運動として推進してまいります。
 第5の柱、医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化では、新たな人材の参入促進策と人材の定着促進、離職防止対策を抜本強化することにより、サービス量の確保と質の向上へと確実につながる好循環をつくり出すとともに、新たな雇用とサービスの創出を通じた産業化を目指してまいります。
 いずれも根本的な課題であります。ゆえに、骨太に重点的に対策を講じてまいりたいと考えているところであります。

TPP対策について

◆桑名 TPP対策についてお伺いをいたします。
 本年2月4日、TPP参加12カ国が協定に署名をいたしました。合意内容が確定し、今後日本を含む各国議会で承認手続に入ります。国会においても、日本の農業の将来像が見えてくるような審議がなされることを望みます。
 県議会もさきの12月定例会で、TPP協定交渉の大筋合意後の対応に対する意見書を可決し、米、麦などの重要5項目の確保を最優先とした国会決議が遵守され、合意内容が国益にかなったものになっているのか、国会における審議を十分尽くすことや、また生産現場にTPP対策の内容を丁寧に説明するとともに、持続可能な農業につながる政策を具体化することなどを国に求めたところです。
 さて、先般国は、TPP大筋合意による農林水産物への影響を公表しました。交渉参加前に示した平成25年3月の試算では、生産減少額を3兆円と見積もっておりましたが、このたび公表されたものは、1,300億円から2,100億円の減少にとどまるものと見込んでおります。
 今回の国の試算を受けて県が新たに行った試算では、本県への影響額は5億円から10億円の減少で、平成25年の試算の158億円減少とは大きくかけ離れたものになっております。関税は全て即時撤廃し、関税撤廃に対し何ら対策を講じないことを前提とした前回の試算と、政府の対策による効果を加味した今回の試算とは前提が異なりますが、余りの違いに驚きは隠せません。県はこの新たな試算による影響額の減少をどのように捉えているのか、知事に御所見をお伺いいたします。あわせて今後、本県農林水産業の振興対策を行う上でどのように取り組みを進めていくのか、お聞きをいたします。



●知事
 TPPに関し、影響額の試算と今後の農林水産業の振興対策についてお尋ねがありました。
 議員のお話にもありましたとおり、平成25年3月にお示しした試算は、関税は即時撤廃し、関税撤廃に対して何ら対策を講じないことを前提としていましたので、影響額は約158億円と非常に大きなものとなっておりました。先月、県が公表しました影響試算は、国内対策が十分効果をもたらすことなどを前提とした国の試算方法に基づき、機械的に行ったもので、前回の試算結果に比べて大幅に少ない約5億円から10億円の影響額となっております。
 中でも、米の影響額については、前回試算の約70億円に対して、今回輸入量と同量の国産米を政府備蓄米として市場から隔離することを前提とした国の試算に従って、ゼロと試算をいたしました。
 しかし、実際に米や畜産物などの安価な輸入品が流通した場合の価格低下や、県外で米から野菜へと転作が進んだ場合に受ける野菜の価格低下などは、現段階では定量的に見通せないものの、そのリスクを十分に踏まえておく必要があるものと考えております。
 また、こうした将来の経営への不安に加え、資材費の高騰や販売価格の伸び悩みなどによる所得の低下、高齢化による担い手の減少といった厳しい環境下では、農林水産業者の生産意欲を減退させ、結果として生産量の低下といったことにつながることも懸念をされます。このため、これらを含む懸念などについても、先月発表しました公表資料に定性的な影響として明記し、影響額とあわせてお示しをしました。
 さらに、本県の場合は、中山間地域が多いといった厳しい実情もあります。こうした地域は、小規模で零細な産地が多く、大規模化していくには限界がありますことから、TPPの影響を大きく受け、人口減少に拍車がかかり、地域の維持すらできなくなる可能性も否定できないと考えております。この点につきましても、公表資料の中で明示しております。
 こうしたことから、県としましては、試算の前提である国内対策が、実効性のある具体的な施策として着実かつ地方の隅々にまで行き届くものとなっているのかを注視するとともに、中山間地域が多いといった本県の実情を踏まえ、国に対してさらに積極的に政策提言を行ってまいります。あわせて、県としましては、何より産業振興計画を力強く推進していくことが重要だと考えております。農林水産業については、新たな技術の導入などにより地産を強化し、生産性の向上を図ることなどを通じて従事者の所得向上を目指してまいります。また、国内の販売強化を図るとともに、海外販路の開拓などにも取り組んでまいります。さらには、地域産業クラスターを形成する、担い手を確保するなどの取り組みにも、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。


◆桑名
 政府は昨年11月に、TPP対策として、中小企業の製品や農産物の輸出支援、安価な農産物の輸入拡大が予想される農業への影響緩和策などを内容とするTPP関連政策大綱を取りまとめ、本年1月にはこの大綱に基づく農林水産関係の補正予算3,122億円を成立させました。今回の補正は、次世代を担う経営感覚にすぐれた担い手の育成や、国際競争力のある産地イノベーションの促進など、緊急に実施が必要な事業の予算を計上したものです。
 国会では、引き続きTPP対策を含めた平成28年度予算の審議が進められておりますが、そこで忘れてはならないことは、平成5年のガット・ウルグアイ・ラウンド合意に関連する国内対策です。合意後、事業費ベースで約6兆円の農業関連対策費が支出されました。しかし、対策費が支出される前年の平成6年度には、農業総産出額は11兆3,000億円でしたが、以後減り続け、平成26年度は8兆3,000億円と低迷をしております。この農業総産出額の数字からも、過去に行ったガット・ウルグアイ・ラウンド対策の有効性には疑問の声も上がっております。
 このことに関して自民党が検証を行う中で、当時対策に携わった谷津元農林水産大臣は、6兆円に対策費は膨らんだが、その効果は2兆円に達していない。対策はお金を出せばよいというものではなく、一番何が効果があり、何が農家に意欲を与えるか検討して、対策をつくってほしいと言っております。
 県においても、今後国に対しTPP対策の要望をしていく上で、これまでに県が行ったガット・ウルグアイ・ラウンド対策を検証しておくことが必要と考えますが、当時のガット・ウルグアイ・ラウンド対策は本県においてどのような効果をもたらしたのか、また反省点は何かを知事にお聞きをいたします。あわせて、これらを踏まえて、国に対し今後どのような農業支援策を求めていくのかをお聞きいたします。



●知事
 ガット・ウルグアイ・ラウンド関連対策の本県への効果や反省点、今後の対応についてのお尋ねがございました。
 議員のお話にありましたように、平成5年のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受け、国は力強い農業構造、農業経営の実現や総合的視点に立った農山村地域の活性化などの対策を行うため、事業費規模で約6兆円、国費で2兆6,000億円余りの予算措置を行いました。その内訳を見ますと、農業生産基盤整備などの公共事業が約5割を占めており、その他の事業としては地域の農業生産の高度化、付加価値向上等のための施設整備事業や、農家負担軽減のための融資事業などとなっております。
 この対策が始まった平成6年度から26年度までの約20年間で、全国の農業総産出額は、議員のお話にありましたとおり約3兆円減少しております。これを分析してみますと、米がその約8割の2兆4,000億円を占めており、嗜好の多様化による需要量の減少や価格の低下がその大きな要因だと考えられます。
 国は、平成12年7月にこの対策の中間評価を行っており、目標達成が必ずしも十分でない事業もあるが、一定の効果を上げていると評価しております。
 県においては、平成6年度補正予算から13年度当初予算までの間に、農業関連予算として約350億円を措置しました。その約6割が公共事業で、主なものとしては、四万十町影野地区の圃場整備や県東部地域の広域農道整備などがあり、本県の農業の基盤整備が一定進んだものと考えております。また、園芸振興対策として実施した県園芸連の園芸流通センターの整備などは、本県農産物の一元集出荷体制の一層の強化につながったのではないかと考えております。
 こうした大きな効果があった一方で、ソフト事業などが十分ではなかったのではないかという反省点もあります。今後のTPP対策を進めるに当たっては、ハード事業に偏ることなく、例えば本県の農業を支えている家族経営体の経営強化に向けた支援や、産地提案型を初めとする新規就農者の確保や育成、競争力の強化には限界がある中山間地域の農業を支える仕組みづくりなどのソフト事業にも重点を置く必要があると考えています。
 そうしたことから、今後も国に対して、本県は中山間地域が多いことや高齢化が全国に比べて早く進行している実情などをしっかりと伝えながら、ハード施策とソフト施策をバランスよく組み合わせた地域の取り組みに対する支援策の拡充を求めてまいりたいと考えているところであります。

1JA構想について

◆桑名
 県域1JA構想についてお聞きいたします。
 本県の農業政策を推進する上で欠かせないパートナーであるJAグループ高知が検討している県域1JA構想の実現に向けて、新たな展開がありました。昨年11月に開催された第33回高知県JA大会で、1JA構想の研究をさらに深めることを決議し、また今後組合員の理解を求めるための説明会に取り組むこととなりました。今回定めた構想実現のための工程表によれば、県内の15JAと全農などの県域組織が統合を目指す時期を平成31年1月1日としております。本県における1JA構想は、JAグループ高知が掲げる持続可能な農業の実現、豊かで暮らしやすい地域社会の実現、食と農を基軸とした地域に根差した協同組合の確立の3つの戦略を推進するため、7年越しで検討が積み重ねられてきたものです。
 また、TPPの大筋合意など農業を取り巻く環境がさらに厳しくなる中で、JAグループの経営基盤や販売力の強化、生産資材コストの低減、営農指導体制の充実は喫緊の課題であり、こうした課題を解決するためにも、1JA構想を実現しなければならないと考えます。
 一方、組合員からは、1JAとなればJAが身近なものでなくなる、地域性を反映した取り組みができるのか、条件の不利な地域から支所や施設が撤退するのではないかといった不安の声も聞こえてまいります。
 1JA構想については、さまざまなメリット、またデメリットも考えられますでしょうが、県としてJAグループが取り組んでいる県域1JA構想に何を期待し、構想の実現に向けてどのような支援ができるのか、知事にお聞きをいたします。



●知事
 本県のJAグループが取り組んでいる県域1JA構想への期待と、構想の実現に向けての支援についてお尋ねがございました。
 本県の農業は、農業者の高齢化や後継者不足、農産物価格の低迷など大変厳しい状況にあり、これに伴い農協の事業規模も縮小の傾向にあります。こうした中で、農協が農家に寄り添ったきめ細やかな営農指導や担い手の育成などを通じて、引き続き地域の農業を支え、農業を成長産業として維持・発展させていくためには、これまで以上に経営体質を強化していくことが必要であります。
 そのため、本県のJAグループでは、将来にわたって農業の振興や組合員所得の向上、地域への貢献に取り組むため、議員のお話にありましたように、昨年11月の高知県JA大会において、平成31年1月の県域1JA構想の実現を目指して取り組んでいくことを決議されました。
 JAグループが目指している県域1JA構想の取り組みは、経営基盤の強化や事業の効率化のみならず、営農指導体制の強化などの組合員サービスの充実や農業所得の向上にもつながる有力な方法と考えております。また、産業振興計画を推進していく上でも、JAグループは地域の農業者をリードし、県と連携して取り組んでいただく重要なパートナーであり、今後この構想が実現すれば、これまで以上に連携が強まり、計画の目標達成に向けた取り組みが効果的に進められるものと考えております。
 今後、合併に向けた議論が進んでいくとお聞きしておりますが、JAグループの皆様におかれましては、基本方針にもあります組合員の所得や事業の利便性をどのように向上させていくのかなどについて、そのプロセスを組合員の視点に立って丁寧にお示しになり、農協と組合員の皆様が一丸となって取り組んでいかれるものと期待しております。
 県としましては、昨年秋から農協中央会の会長を初めとする幹部職員の皆様と、農業振興部の職員が定期的に意見交換を行っており、JAグループが目指す県域1JA構想の実現に向けて、今後ともさまざまな課題を共有し、必要な支援を行ってまいりたいと考えています。

南海トラフ地震対策について

◆桑名
 南海トラフ地震対策についてお聞きをいたします。
 平成28年度を初年度として、第3期南海トラフ地震対策行動計画が実施されます。平成25年度からの第2期行動計画では、「生き抜くためにみんなで備えよう」をスローガンに、命を守る対策、命をつなぐ対策、生活を立ち上げる対策の3つの対策を柱として取り組みが進めてこられました。
 その成果として、命を守る対策では、津波避難空間の整備は一定めどが立ち、公共施設の耐震化や室内の安全確保対策もおおむね完了をしております。また、命をつなぐ対策では、総合防災拠点の整備や道路啓開計画の策定、医療救護計画の改訂を行うなど、発災後3日間の応急期初期の対策を本格化させました。さらに、生活を立ち上げる対策では、速やかな復旧・復興を実現するため、事前に備えるべき対策の検討に着手をしております。
第2期行動計画は、おおむね順調に達成されたものと考えます。これを踏まえて、来年度からの第3期計画には、第2期行動計画の考え方を踏襲しながら、第2期計画の総括により明らかになった課題を反映するとしておりますが、第2期行動計画で明らかになった課題は何か、またこれを第3期にどうつなげていくのか、危機管理部長にお聞きをいたします。



●危機管理部長
 南海トラフ地震対策について、第2期行動計画で明らかになった課題は何か、またこれを第3期行動計画にどのようにつなげていくのかとのお尋ねがございました。
 これまで第2期行動計画の取り組みを着実に進めてきた結果、命を守る対策では、お話にありました津波避難空間の整備や公共施設の耐震化がおおむね完了するほか、河川、海岸堤防の耐震化や保育所などの高台移転にも取り組んでまいりました。
 また、命をつなぐ対策では、総合防災拠点が概成したほか、道路啓開計画の策定なども行いました。これに加えて、中山間地域へのヘリコプターの離着陸場の整備や避難所の確保なども進めてまいりました。これら多くの取り組みを進めてきたことで、新たな問題点が見えてまいりました。
 例えば、最大クラスの地震が発生した場合に、学校や県有建築物の耐震化は概成しましたが、住宅の耐震化が74%から77%と大きくは進まなかったことから、建物倒壊による想定死者数は12%、負傷者数は9%の減少にとどまっていること。
 また、沿岸部の508地区全てにおいて地域津波避難計画は策定され、津波避難空間の整備が概成しました。これらの津波避難空間を使いこなし、各地域で津波から確実に避難できるか、避難経路の現地点検を進めていますが、点検に時間を要しており、その進捗は28%にとどまっていること。
 さらに、避難所の確保について、収容能力を約17万から21万人分までに拡大してまいりましたが、想定される避難所への避難者数は3%の減少にとどまり、いまだ約4万人分の避難所が不足していること。
 また、発災後、避難所に支援物資などを届けるルートを確保するため、橋梁の耐震化や緊急輸送道路ののり面防災対策などを進めるとともに、道路啓開計画も策定しました。その結果、道路啓開に長期間を要する地域が一定存在することがわかったこと。
 加えて、津波避難対策を進めたことにより、想定死者数は4万2,000人から大幅に減り1万4,000人となりましたが、住宅の耐震化が大きく進まなかったことなどから、負傷者数は5,000人の減少にとどまり、いまだ3万人以上の負傷者が想定されることなどがございます。
 このほかにも数多くの問題点が明らかになっており、第3期行動計画の策定に当たっては、これらを解決するための課題を洗い出し、その中でも特に重点的に取り組む必要がある8つの課題を整理しています。
 まず、命を守る対策では2つの課題に取り組みます。1つ目は、地震対策の一丁目一番地であり、人的被害に大きく影響する住宅の耐震化を加速します。2つ目は、整備された津波避難空間まで確実に避難できるのか、現地での点検を加速化させ、地域地域での津波避難対策の実効性を確保していきます。
 次に、助かった命をつなぐ対策では5つの対策に取り組みます。まず、揺れや津波から助かったあと、命をつなぐ重要な場所となる避難所について、さらなる確保対策とあわせて、発災後、住民が主体となって速やかに避難所を開設し、円滑な運営ができる体制の整備を図ります。また、地域に支援物資などを届けるため、陸路のみならず海路や空路を活用して、早期にルートを確保するための取り組みを進めます。さらに、発災後は年間の救急搬送件数とほぼ匹敵する負傷者が一度に発生することに備え、県民総力戦による前方展開型の医療救護活動を実現するための体制を確立していきます。
 このほかにも、応急期機能配置計画の策定や、高知市の長期浸水区域における確実な避難と迅速な救助・救出の取り組みも進めてまいります。
 これらに加え、全ての取り組みを進める上で共通の課題となる県民への啓発の充実強化にも取り組んでまいります。
 これらの第2期行動計画で明らかになった課題に対して、第3期行動計画では、対策の見直しや新たな対策を講じるとともに、対策間の連携もしっかりとっていくことで、命を守る対策を地域地域で徹底していく、命をつなぐ対策を掘り下げ具体化させていく、さらに生活を立ち上げる対策についても、速やかな復旧・復興を目指して検討の加速化に取り組んでまいります。


◆桑名
 第2期行動計画に定めた啓発活動や訓練の実施面においても、啓発冊子の「南海トラフ地震に備えちょき」は全戸への配布が完了、自主防災組織の組織率は約93%、放課後子ども教室の避難訓練実施率は約82%など、県民の地震に対する意識は向上してきたものと感じております。また、避難訓練も各地域において積極的に実施されております。
 ただ先日、震災関連の調査で宮城県を訪問した際、当時の気仙沼市危機管理監佐藤氏から、最も危機意識があり、ハザードマップの確認や避難訓練を繰り返しやっていた地域にも多くの犠牲者が出たとの話をお聞きいたしました。そもそも宮城県では、2020年までに80%の確率でマグニチュード7.5クラスの大地震が来るであろうと予測をされ、地震対策は住民の最大の関心事であったそうです。このため、本県が現在取り組んでいるような対策を宮城県も講じていたところです。にもかかわらず避難がおくれ、大きな被害が出ました。今後同じ過ちを繰り返さないためにはどうすればよいのか。佐藤氏は、地震の被害を漠然としたものではなく、具体的な被災イメージを地区に合わせてつくっていく必要がある、ハザードマップは予測であり、確定したものではない、防災の形も変化をするものであり、防災に限界を決めてはならないというふうにおっしゃられました。
 さらに、行政者と生活者とでは、情報のずれ、判断のずれ、知識や理解のずれがあり、これらをどのように解消していくかが重要であると、実体験を踏まえてのお話をいただきました。まさに地震対策に終わりはなしです。
 しかし、いつ来るかわからない大地震に備え、防災意識を住民に持ち続けさせることは困難です。東日本大震災の被災地でさえ、防災意識の低下が懸念をされております。
本県において、まず震災対策の基本である住民の防災意識を第3期行動計画期間中にどのように持続させていくのか、その具体的な方策を危機管理部長にお聞きをいたします。



●危機管理部長
 住民の防災意識を維持させていくための第3期行動計画における具体的な方策についてお尋ねがございました。
 県ではこれまで県民の皆様への啓発の取り組みとして、「南海トラフ地震に備えちょき」の全戸配布や、テレビやラジオ、新聞などさまざまなメディアを活用した県民全体を対象とする啓発や、自主防災組織の人材育成研修や避難所運営の訓練などを通じた個人を対象とする啓発に取り組むことで、防災意識の向上に努めてまいりました。
 平成25年度に行った県民意識調査の結果を見ると、東日本大震災前と比較して、津波から早期に避難する意識は20%から70%になるなど、県民の皆様の津波に対する危機意識は大きく向上しております。
 しかし、本年度の調査では、早期避難の意識は横ばいに、また揺れに対して家具を固定している割合も横ばいであるなど、東日本大震災から5年が経過したことで、この2年間、防災意識が向上していないという状況が明らかになりました。
 さらに、この調査結果から見えてきた具体的な問題点としては、津波浸水予測区域内の4人に1人が浸水区域内であるといった認識を持っていないなど、必要な情報が行き届いていないか、もしくは正しく認知されていないこと。揺れで家具が転倒するといった危機意識を8割もの方が持っているにもかかわらず、実際に家具を固定している方は3割にとどまっているなど、被害に対する危機意識はあるものの、行動につながっていないこと。さらに、対策を行っていない方の1割は、地震に関心がないあるいは地震はすぐに起きないと思うといった地震対策に関心のない層が一定存在するといったことなどがございます。
 これらの問題点に対し、第3期行動計画では、これまで行ってきた啓発を充実させるとともに、新たに2つの視点で取り組むこととしています。
 1つ目は、それぞれの地域において顔の見える啓発を行っていくことです。具体的には、避難路の現地点検や避難所運営マニュアルの作成など、地域本部が住民の皆様と一緒に取り組むさまざまな機会を活用して、直接お伝えする啓発を実施してまいります。
 2つ目は、県民の皆様に災害を自分のこととして捉えていただく啓発です。発災後から復旧・復興期まで一連の時間軸の中で、事前に備えておかなければ被災者や被災地がどのような状況に陥ってしまうのか、具体的にイメージしていただけるDVDなどを作成し、県民の皆様にお示ししてまいります。
 こうした取り組みにより、地震への備えについて県民の皆様が正しく理解し、行動につなげていただけることを目指すとともに、東日本大震災の教訓を風化させることなく、県民一人一人の防災意識を維持していくことはもちろんのこと、さらなる向上を目指してまいります。


◆桑名
 第2期行動計画において、社会福祉施設や保育園、幼稚園の高台移転も進められ、第3期行動計画でも引き続き支援の計画がございます。大いに進めていただきたいものです。それにあわせて、企業の高台移転希望の声もよく耳にいたします。しかし、高知市周辺では土地がなく、また土地利用規制もあって適地がありません。現在、高知県と高知市が協働して一宮の工業団地の整備を進めておりますが、ものづくりの基盤整備・強化が目的の工業団地であり、製造業以外の他業種の移転が不可能であります。
今後、県も高台移転を希望する企業を調査し、それに合わせた工業団地づくりを行うことも必要と考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。



●知事
 高台移転を希望する企業を調査し、それに合わせた工業団地の整備を行うことも必要ではないかとのお尋ねがありました。
 東日本大震災の発生や南海トラフの巨大地震による津波浸水予測の公表などを契機としたBCPに対する意識の高まりとともに、県内企業の皆様から高台移転に関する数多くの意見をいただき、関心の高さを実感しております。
 県では、昨年度、県内製造業573社を対象に今後の意向調査を実施しました。その結果、工場等の増設や移転を計画または検討している企業は62社で、希望する面積は約25ヘクタールであり、そのうちBCPに関するものは12社で、面積は約9ヘクタールでございました。また、高知市が把握しているところでは、運送業や卸売業等の製造業以外の業種で約10ヘクタールのニーズがあるとお聞きをしております。
 現在、県では、約17ヘクタールの工業団地を整備しています。高知市と共同で、一宮地区に分譲面積約5ヘクタールの団地を平成29年度の工事完成を目指し整備を進めていますし、南国市と共同で、日章地区に約12ヘクタールの団地を平成30年度の工事完成を目指し整備を進めているところであります。
 議員のお話にもありましたように、一宮の団地は高知市との協議により製造業を対象としておりますが、同時に整備を進めています日章の団地では、一宮の団地の2倍以上の分譲面積を予定していますので、製造業に加え運送業なども対象とする方向で南国市と協議を行っており、ニーズには一定お応えできるものと考えています。
 また、28年度からの次期南海トラフ地震対策行動計画におきましても、大規模地震発生後の速やかな経済活動の復旧を図るため、工業団地の早期完成と市町村が実施する適地調査の支援を位置づけることといたしております。
 県では、一宮と日章の両団地の早期完成に全力で取り組んでまいりますとともに、今後の団地整備につきましては、県内企業の具体の増設や移転等の計画や意向を十分にお聞きしながら、市町村ともしっかり連携して対応してまいりたいと考えております。


◆桑名
 浸水地域に居住する住民のためにも、高台の住宅地造成も望まれるところですが、実態は土地利用規制もあり、開発が進まないとの声も聞こえてきます。今後高台開発における土地利用規制の運用をどのように扱っていくのか、知事にお聞きをいたします。



●知事
 高台開発における土地利用規制の運用をどのように扱っていくのかとのお尋ねがありました。
 高知市周辺につきましては、現在高知市を中心とする一体的な生活圏を高知広域都市計画区域に指定し、市街化区域と市街化調整区域の区域区分を定め、市街化調整区域において土地利用を規制しています。
 市街化調整区域における高台での工業団地や住宅団地などの開発につきましては、市や町が地域の実情に応じたまちづくりの方針を定め、その整備計画を地区計画として都市計画決定することにより、開発を行うことができます。議員のお話にありました高知市一宮の工業団地や南国市久礼田の流通団地などが、この地区計画により開発が行われています。
 一方、個々の案件につきましても柔軟な対応を行っているところです。例えば空き家などを有効活用して、津波浸水予測区域内の住民や企業が高台へ移転できるような運用を行っています。また、発災時にみずから避難することが困難な方につきましては、高台で住宅の建築が可能となるような対応も行っているところです。
 今後も人口減少や高齢化による社会構造の変化を踏まえ、市街化調整区域であっても、一定規模以上の既存集落については住宅建築の要件を緩和するなど、土地利用規制の柔軟な運用を検討していきたいと考えています。またあわせて、高知市内の土地利用規制の柔軟な運用について、開発許可権を持つ高知市と引き続き協議を進めてまいります。


◆桑名
  第2期行動計画の取り組みにより見えてきた課題の一つに住宅の耐震化を上げ、重点的に取り組むべき課題として第3期行動計画に位置づけられております。住宅耐震化の重要性は改めて指摘するまでもなく、段階的な耐震改修への支援など、新たな取り組みも期待するところです。
 一方で、本県の空き家率は全国トップレベルです。老朽化した空き家は、倒壊すれば避難路を塞ぐなど防災面でも課題があることから、南海トラフ地震対策の一環として取り組みを進めることが重要であると考えます。
 今般、税制改正において、空き家の譲渡所得から3,000万円を特別控除とする特例措置が創設されるなど、税制面からも空き家対策を進めようとしております。こうした税の特例措置の周知も含め、空き家対策に県はどのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きをいたします。



●土木部長
 税の特例措置の周知も含めた空き家に対する取り組みについてお尋ねがございました。
 空き家は、適切に管理が行われなければ、衛生、景観などの地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすとともに、老朽化すれば、地震発生時に倒壊して避難路を塞ぐなど防災面での課題もあるため、空き家対策は南海トラフ地震対策としても重要であると認識をしております。
 このため、県は市町村と連携し、老朽化した空き家の除却に対する助成や公的賃貸住宅としての再生、活用に取り組んでおり、本年度末までに24市町村で447棟の空き家が除却され、18市町村で61棟の空き家が再生される見込みです。また今後、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市町村が行う指導等の参考となる考え方や、空き家の優良な活用事例などを取りまとめたガイドラインを作成し、市町村に提供する予定です。
 議員からお話のありました税の特例措置は、空き家が発生する要因の一つである相続に着目し、住宅を相続された方が当該住宅を耐震改修した上で譲渡した場合などに、譲渡所得から3,000万円を控除するものであり、相続の後、空き家となった住宅が適正に管理されず放置されてしまうことを抑制する効果が期待されます。
 今後も空き家対策に取り組む市町村を財政的、技術的に支援していくとともに、空き家に係る新たな税の特例措置についても、市町村や不動産事業者等と連携して広く県民の皆様に周知することで、空き家対策を促進してまいります。

観光振興について

◆桑名
 観光振興についてお伺いをいたします。
 平成25年に開催された「楽しまんと!はた博」に続き、昨年は「高知家・まるごと東部博」が開催されました。はた博開催期間中の観光施設入り込み実績は146万人で、対前年比20万人増の116%、宿泊者数入り込み実績は12万人、対前年比4,800人増の104%となり、経済効果は26億5,000万円、税収効果は県税で3,500万円、市町村税9,600万円、雇用者誘発は686人と、幡多地域の活性化に大きな成果を上げました。
 東部博においても、観光施設の入り込み実績は86万人で、対前年比13万人増の118%となり、はた博同様の成果が上がっております。
 また、12月定例会の野町議員の質問に対する答弁で、観光振興部長は、東部博をきっかけに、地域観光を支える人材の育成と地域が主体となった観光地づくりが大きく前進し、広域観光を推進する力が根づいてきたと感じていると総括をしております。ことしの奥四万十博も、これらの経験や反省点を踏まえて開催され、さらなる成果が期待されるところです。
 東部博は終了したばかりで、開催効果の分析などはこれからと思いますが、はた博は終了後1年がたっております。はた博では、ここでしか、そのときしか体感することのできない本物の魅力があふれる観光地を目指すことをコンセプトとしておりましたが、はた博終了後、幡多地域の観光にどのような変化があったのか、観光振興部長にお聞きをいたします。また、はた博の経験が東部博にどのように生かされたのか、あわせてお聞きをいたします。さらに、平成29年には大政奉還150年、翌30年には明治維新150年と、歴史を中心とした大型博覧会の開催が計画されておりますが、これらの博覧会とこれまでの地域博をどのように結びつけていくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。



●観光振興部長
 はた博終了後、幡多地域の観光にどのような変化があったのか、また、はた博の経験が東部博にどのように生かされたのか、さらに歴史を中心とした博覧会とこれまでの地域博をどのように結びつけていくのかについてお尋ねがありました。
 幡多地域では、平成25年度に開催されました「楽しまんと!はた博」を通じて、広域的な視点による地域の豊かな自然や食を生かした旅行商品や周遊プランの造成、タイムリーなプロモーションなど、広域観光の有効性や必要性が認識され、市町村間の連携が深まるとともに観光人材の育成が進み、地域みずからが継続的に広域観光に取り組んでいかれるようになりました。
 今年度からはさらに戦略的な観光地づくりにつなげていくため、県と6市町村が連携して国の地方創生交付金を活用し、幡多広域観光協議会が中心となって、一般観光客やスポーツツーリズム、インバウンドなどターゲットを定め、マーケティングやプロモーションを展開するなど、県内の広域観光のモデルとなる取り組みを進めているところです。
 今年度、「高知家・まるごと東部博」を開催した東部地域では、はた博の取り組みを参考に、計画づくりの段階から官民による実行委員会を立ち上げるとともに、広域の視点による体験プログラムなどの造成や、旅行エージェントへのプロモーション活動などを通じた人材育成にも取り組みました。また、観光客の滞在時間の延長と周遊を促進するため、地域内に設置した3つのパビリオンを中心に、エリア内での周遊コースを造成するとともに、それぞれのパビリオンにおいて他のエリアの観光情報を積極的に提供することで、エリア相互の誘客につなげました。
 こうした取り組みの結果、東部地域では官民の広域観光に対する協力体制づくりにつながり、さらに博覧会終了後も官民一体となった広域観光を推進するため、9市町村が中心となって、去る2月25日にその広域観光を担う新たな法人の設立総会が開催されたところです。
 また、4月10日に「2016奥四万十博」がスタートする高幡地域においても、これまでの地域博覧会での取り組みをさらに発展させ、市町村単位で体験や食、土産物などを組み合わせた周遊コースや市町村間をつなぐ公共交通やタクシーを活用した周遊プランをつくり上げるなど、地域地域に経済効果を生み出す仕組みもできつつあります。
 今後開催を予定している歴史を中心とした博覧会については、地域地域で歴史資源の発掘と磨き上げをしっかり行い、歴史観光の基盤を県内全域で整えますとともに、磨き上げた歴史資源と周辺の観光資源が一体となった周遊コースをつくり上げていくこととしています。
 その際には、これまでの地域博覧会の開催を通じて地域に蓄積された広域観光のノウハウを生かしながら、食や体験プログラムなどをつなぐ周遊コースや二次交通の仕組みをしっかりと組み込み、さらに磨き上げを進めることで、博覧会終了後においても持続的な観光振興につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。


◆桑名
 高知市が中心となって、本県を代表する観光地桂浜公園の整備に向けた検討を行っております。桂浜は、昭和50年代に土産物店の並ぶサービスエリアや遊歩道の整備、桂浜水族館の移転整備などが行われましたが、以来30年余り再整備が行われておらず、各施設の老朽化も進んでおります。また、観光客のニーズや旅行形態の多様化もあり、入り込み客数の減少も大きな課題となっております。
 桂浜は、自然景観にすぐれ、歴史的資源も豊富で、全国的な知名度も高く、また高知龍馬空港や高知自動車道のインターチェンジからも近く、本県観光のメッカになる可能性を備えております。
 平成27年に高知市が策定した整備基本構想の中では、周辺地域を含めた桂浜地域を自然・海浜景観エリアや龍馬を学ぶエリアなど6つのゾーンエリアに区分し、それぞれのエリアについてテーマ性に基づいた整備を行うことが検討されております。またこれに加えて、公園内では県立坂本龍馬記念館のリニューアルも計画されており、今後桂浜への入り込み客数が増大することが期待をされております。
 桂浜が魅力のある観光地として生まれ変われば、観光客の滞在時間も当然長くなることが予想されます。しかし、桂浜の立地環境から、桂浜公園へのアクセスの脆弱さが問題となります。桂浜への進入路は、片側1車線の県道春野赤岡線と浦戸地区からの生活道しかありません。浦戸からの道は狭く、アクセス道としては県道春野赤岡線しかないのが実態です。
 桂浜の渋滞については、私も9月の予算委員会で指摘をさせていただきましたが、昨年のシルバーウイークでも桂浜の大渋滞は大きな問題となりました。再整備を機に、県内観光地のメッカとなることを目指すのであれば、アクセス面の改善も図らなければ、連休やイベントを開催するごとに渋滞対策を実施しなければならない状況となります。
 遊覧船や渡し船などを使って、浦戸湾の観光とあわせた海上からの進入方法も一案かと考えます。高知市が桂浜公園の整備を検討する中で、県として高知市とともに桂浜の渋滞の解消に向けてどのように対応していくのか、あわせて観光振興部長にお聞きをいたします。



●観光振興部長
 桂浜の再整備に向けた検討の中での渋滞の解消に向けた対応についてお尋ねがありました。
 桂浜の渋滞対策につきましては、昨年9月のシルバーウイークの期間中に想定以上の交通渋滞が発生しましたので、改めて今後の対応について県と市で協議を行いました。
 その結果、これまでのゴールデンウイークやお盆などの大型連休のみならず、道路の混雑予測や宿泊状況などを収集・分析した上で、多数の入り込みが予想される連休や桂浜でのイベントについては、事前に高知市と検討の場を設けて、新聞やテレビなどによる渋滞予想の事前広報、交通整理や案内を行うスタッフの配置、シャトルバスの運行など必要となる対策を連携して取り組むことといたしました。これによりまして、渋滞の発生が懸念されました昨年11月21日からの3連休では、高知市と協議を行った上で、事前広報や交通整理のスタッフの配置などの渋滞対策を実施したところです。
 ただ、こうした対策も連休やイベントごとに行う必要がありますことから、大型連休ごとの慢性的な渋滞を緩和するためには、現在検討が進められている桂浜公園の再整備の中で、その対策についても十分議論される必要があると考えております。
 昨年高知市が取りまとめた桂浜公園整備基本構想では、大型バスの駐車台数を増加するほか、検討項目として立体駐車場の設置や駐車場の無料化、さらには海上からのアクセスのための係留施設の設置などが盛り込まれております。今後、高知市が基本計画を策定する中で、それぞれ具体的に検討が進むものと考えておりますので、その他の方策も含めて高知市としっかりと協議させていただきながら、渋滞の緩和に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

スポーツ振興について

◆桑名
 平成24年より始まり好評を博しておりましたプロ野球プレシーズンマッチが、ことしは開催されませんでした。これは、本県のプレシーズンマッチの日程と宮崎県の同様の取り組みの日程が重なり、各球団の日程調整ができなかったことが理由でありますが、これを機会にスポーツキャンプの誘致について、県の戦略を立て直す必要があるのではないかと考えます。
 本県は、これまでキャンプ期間中の降水量の少なさや温暖な気候、日照時間の長さなどの自然条件を生かし、プロ野球春季キャンプのメッカでありました。しかし、近年では沖縄県や宮崎県に各球団が集まり、現在本県でキャンプを行っているのは、阪神と埼玉西部の2軍キャンプだけとなりました。
 なぜ沖縄県と宮崎県にプロ野球キャンプが集中をするのか。これは、施設の充実に伴いキャンプを行う球団が増加し、キャンプ地で他球団との練習試合が組めるという利点があるからです。
 プロスポーツは日々進化をしております。施設面においても、その競技の進化に合ったものでなければなりません。沖縄県で22年間キャンプを行っていたオリックスは、球団が要望する球場整備を受け入れた宮崎県に昨年1軍が、そしてことしは2軍が移転をいたしました。この結果、プロ野球の1軍キャンプは沖縄県で9球団が、宮崎県では5球団が行っております。また、サッカーJリーグのチームのキャンプ地も、沖縄県と宮崎県に集中をしております。
 さて、その宮崎県のスポーツキャンプ誘致戦略は何か。それは、キャンプのフルシーズン化と多競技化と言われております。宮崎県では、プロスポーツのキャンプだけではなく、アマチュアスポーツの合宿も盛んです。平成26年度の受け入れ実績は1,262団体、延べ参加人数17万8,000人と年々増加を続けております。これも、プロスポーツキャンプの誘致を契機として、新たに施設が整備されたり、全国的にキャンプ地として有名になることによって、他競技の目が宮崎県に向けられるようになった結果であると言われております。まさに、キャンプや合宿の集積が集積を生んでいる状況です。
 こうした状況を踏まえ、本県でもキャンプや合宿の集積を重ね、再びスポーツキャンプのメッカになることで、本県のスポーツの振興や県経済への波及効果を図っていかなければなりませんが、その誘致戦略を観光振興部長にお聞きをいたします。また、プロ野球球団やJリーグのチームから、キャンプや合宿の実施に当たってこれまでどのような要望があり、どのように対応してきたのか、お聞きをいたします。あわせて、今回開催できなかったプレシーズンマッチの開催に向け、今後どのような誘致活動をしていくのか、お聞きをいたします。



●観光振興部長
 スポーツキャンプなどの誘致戦略について、またキャンプ等の実施に当たってのプロ野球球団等の要望への対応状況と、プレシーズンマッチの開催に向けた今後の活動についてお尋ねがありました。
 スポーツキャンプなどの誘致推進につきましては、平成24年度から第2期産業振興計画の観光施策の柱の一つに位置づけ、集客力があり、本県のブランド力を高めることにつながるプロ野球やJリーグ、アマチュアのトップリーグのキャンプや公式戦の誘致に加えて、その実績をもとにオフシーズンを含めて切れ目なく誘客できるよう、さまざまなアマチュアスポーツ合宿等の誘致に取り組んでまいりました。
 その中で、まずプロ野球につきましては、秋は関西圏からのアクセスや気候のよさを強みとした1軍のキャンプ、春はプレシーズンマッチの開催を通じた1軍の2次キャンプの誘致に向けて取り組んでまいりました。その結果、毎年秋には阪神、オリックスの1軍と韓国球団の3球団がキャンプを実施しており、ことしの春にはプレシーズンマッチの開催はできませんでしたが、阪神の2軍と埼玉西部B班とA班の一部に韓国球団を加えた3球団がキャンプを実施しております。
 次に、Jリーグとトップリーグにつきましては、温暖な気候に加えてグラウンドの芝や施設環境のよさを強みとした誘致に取り組み、ことしの春はJ1のアルビレックス新潟など過去最高となるJリーグ5チームがキャンプを実施いたしましたし、昨年秋のラグビートップリーグの2チームの合宿や、昨年7月のなでしこリーグの公式戦の開催につながったところです。
 このようなキャンプの実施に当たっては、球団などの要望に応じて、春野球場の仮設ブルペンの設置や東部球場の選手控室の拡充、そして安芸球場の防球ネットの拡充など、県と各関係市が協力して整備をしてまいりましたし、Jリーグにつきましても、春野の陸上競技場や球技場の芝の状態の向上に努めてまいりました。
 こうしたプロスポーツやトップリーグの誘致実績をもとに、競技団体や市町村などと連携し、幅広い競技の大会や合宿の誘致に取り組んだ結果、韓国の小中学校や国内の社会人、大学などの野球チームの合宿誘致につながり、2月、3月のキャンプシーズンは、県内各地の球場はほぼ満杯の状況となっております。さらに、サッカーでも大学や高校の合宿や大会が増加するなど、一定の集積が図られてきたものと考えております。
 今後、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機に、県教育委員会が策定いたしましたスポーツ推進プロジェクト実施計画に基づき、高知市東部総合運動場多目的ドームの建設や土佐西南大規模公園の多目的グラウンドの人工芝化などの整備が順次進められることになっておりますので、こうした施設整備に合わせてプロスポーツやトップリーグを中心に、さらなる誘致に向けて力を入れてまいりたいと考えております。
 こうした取り組みに加えて、第3期産業振興計画では、高知ならではの自然を生かし、アウトドア拠点の整備とトライアスロンやサーフィンなどの大会の開催支援、魅力的なサイクリングコースの設定などにも取り組んでまいりたいと考えております。
 また、プロ野球のプレシーズンマッチの開催に向けましては、現在の春のキャンプの継続はもちろん、1軍の2次キャンプにつなげるためにもその開催は重要であると考えておりますので、できる限り早い段階から各球団との交渉を開始し、今年度も本県での開催を希望する球団もございましたので、そうした球団の御協力もいただきながら、開催に向けて全力で取り組んでまいります。

エコサイクルセンターについて

◆桑名
 エコサイクルセンターについてお聞きをいたします。
 日高村にある管理型の産業廃棄物最終処分場エコサイクルセンターが、当初の計画よりも多くの廃棄物が搬入され、計画した期間の半分に当たる10年間で満杯になる可能性が出てまいりました。このため、県は平成28年度予算案に、今後の本県における最終処分のあり方を検討するためのマスタープラン策定費用として1,300万円を盛り込みました。
 現在のエコサイクルセンターは、平成23年に開業しましたが、地元住民の反対や工事のおくれもあり、県が日高村に設置要請をしてから開業まで18年もの歳月を費やしております。この間、多くの御迷惑、御苦労を地元住民、自治体など関係者の皆さんにおかけをしてまいりました。
 当初の見込みでは、処分場は20年間で満杯になるという計画でしたが、運搬コストの低減により搬入量が増加したこともあり、開業から4年の現在の予測では、あと6年後に満杯となる可能性が出てまいりました。
 産業廃棄物は、本来排出者に処理責任があるものですが、このような管理型産業廃棄物最終処分場は、住民の安心を得るためにも、また民間の参入が難しい本県にあっては、行政が責任を持って設置すべきものと考えます。今後、産業廃棄物は産業の振興に伴いふえる見込みであり、早急にマスタープランをまとめ、県としての方向性を示さなければなりません。
まず、県としてこの計画を上回るペースで埋め立てが進んだことをどのように捉えているのか、知事にお聞きいたします。



●知事
 エコサイクルセンターに関する一連の御質問にお答えをいたします。
 まず、計画を上回るペースで埋め立てが進んだことをどのように捉えているのかとのお尋ねがありました。
 エコサイクルセンターは、日高村の住民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、生活環境の保全と廃棄物の適正処理を行う施設として整備しました、県内で唯一の産業廃棄物の管理型最終処分場であります。平成23年10月の開業以来、事業者にとって利用しやすい環境が整ったことに加え、公共関与による施設に対する安心感や認知度の高まりとも相まって、埋立計画量のおよそ2倍のペースで埋め立てが進んでおり、このままのペースでいきますと、6年後にはほぼ満杯となる見込みです。
 このように埋立計画量と実績で大きな違いが生じました主な要因の1つ目は、建物の解体に伴い排出される廃石こうボードが、見込みと比べて5倍ほどの埋立量になってきていることであります。これは、従来廃石こうボードは、紙を取り除いた後、安定型最終処分場に埋め立てられていましたが、有害ガスが発生する事故が起きたことを契機に、国が管理型最終処分場に埋め立てるよう取り扱いを変更したことによるものです。この時点では、事業敷地や施設整備費を勘案した実施設計がほぼ固まっていましたことから、計画の見直しを行うことが困難な状況でありました。
 2つ目の要因は、鋳物工場から排出されます鉱滓が、見込みと比べて3倍ほどの埋立量になってきていることであります。これは、廃棄物処理法の施行前の昭和30年代に、高知市弥右衛門地区で埋立処分されていた鉱滓およそ1万1,000トン、これは埋立計画量のおよそ2年分に相当しますが、これが土地区画整理事業の施行に伴い掘り起こされ、それを受け入れざるを得なかったということであります。
 このほか、県外処理を行っていた事業者が、コスト面の優位性から持ち込むようになったことが主な理由であります。
 このように当初の見込みを上回る埋め立てにより、施設の運用期間が短くはなりますが、このことはエコサイクルセンターが安全かつ低コストに産業廃棄物を処理する施設として、産業活動を幅広く下支えする機能を発揮したことのあらわれでもあり、県内における管理型最終処分場の重要性を改めて認識しているところでもあります。


◆桑名
 開業まで18年もの歳月を費やしたのも、川が汚れる、運搬車が多く通行するので危険がある、また地域が汚されるなど多くの反対の声があったためでもありますが、これらの声は今も県に聞こえてきているのか、現状をお聞かせください。
 また、管理型の最終処分場の整備には、通常計画から開業まで順調に進んで六、七年かかると言われております。そのような状況の中で、早急に県として対応方針を定めなければなりませんが、マスタープランではどのようなことが検討をされるのか、また安定的な管理型の産業廃棄物最終処分場の確保に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。



●知事
 開業まで18年の歳月を費やしたのは、多くの反対の声があったためであると思うが、これらの声は今もあるのかとのお尋ねがありました。
 エコサイクルセンターを建設する前には、地域住民などから、仁淀川への汚水の流出や、農水産物の風評被害の発生などを懸念する声が寄せられていました。しかしながら、施設が完成して以降、県内外の多くの皆様に、屋根つきで処理した水を外に放流しないクローズドシステムを採用した施設を直接ごらんいただく中で、安全・安心面に配慮されたすばらしい施設であることが実感できたといった声もいただくようになりました。
 また、熊本県や鹿児島県におきましては、エコサイクルセンターを視察した後、同様の被覆型クローズドシステムを導入した施設を整備しており、このことからも周辺環境に配慮した安全な施設である、モデル的な施設であると評価をいただいたものと考えております。
 施設の供用開始後は、施設の安全性はもとより、地元小学校で環境学習会を開催するなど積極的に地域住民との交流に取り組むほか、地域の皆様から寄せられる交通安全への配慮の声に対しても、きめ細やかに対応しております。加えて、環境保全等連絡協議会を定期的に開催して、環境測定結果の報告や意見交換を行うなど、地域住民の生活環境の保全に努めており、開業前に御心配いただきましたような声は、聞き及ぶ限りではお伺いしていないものと承知をしております。
 今後もエコサイクルセンターには、地域住民の信頼に応えることができるよう、安全で安心な運営に努めていただきたいと考えているところであります。
 次に、産業廃棄物への対応方針を定めるマスタープランでは、どのようなことが検討されるのか、また安定的な管理型の産業廃棄物最終処分場の確保に向けて、今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。
 産業廃棄物の取り扱いとしましては、全国的に、県内で発生した廃棄物は県内で適正に処理するという域内処理を基本的な考えとしており、県外へ排出し、埋立処分することが難しい状況があります。
 こうした中、先ほど申し上げましたように、エコサイクルセンターは6年後には満杯となる見込みでございますので、その後の継続的な処理体制を確保する観点や、施設整備に要しました期間を考えますと、来年度には今後の対応方針を明らかにするマスタープランの検討が必要と考えております。
 マスタープランでは、まず産業廃棄物の発生量のほか、処理実態の把握やエコサイクルセンターの利用者への聞き取り調査などを行い、これからの管理型産業廃棄物の再資源化や減量化の動向にも留意しながら、施設整備の必要性を検討してまいります。その上で、公的関与を含めた整備主体や施設構成などに関する考え方を盛り込む予定であります。
 このプランの検討に当たりましては、過去の経験から、オープンな議論と情報公開が何よりも増して大切と考えております。このため、学識経験者や経済界、産業界などさまざまな分野の代表者で構成する検討委員会を設置し、幅広い観点から御意見や助言をいただくことを考えております。また、県議会へも随時御報告をさせていただき、県民の皆様の御理解もいただきながら、できるだけ速やかにマスタープランを策定し、それに即して候補地の選定を含めた具体的な作業に入ってまいりたいと考えているところであります。

龍馬マラソンについて

◆桑名
 龍馬マラソンについてお伺いをいたします。
 過去最大の8,176人が参加した高知龍馬マラソンが、晴天のもと開催されました。私も、浜田豪太議員、上田周五議員、大野辰哉議員とともに参加をいたしました。3人は颯爽と土佐路を駆け抜けたようでございますが、私の場合は息も絶え絶えに、やっとのことで完走を果たしました。まさに難行苦行の6時間でした。
 さて、走っていますと、県外からの参加者らしき人たちから、思い切って高知に来てよかった、またこんなすばらしいロケーションで走ることができ最高などという声も聞こえてきたものです。沿道では、多くの県民の方の声援が途切れることなく、最後まで聞こえてまいりました。中学生、高校生によるブラスバンドは、走り終わってお聞きいたしますと、何と1時間30分以上も演奏を続けていたそうでございます。本当に皆様から元気をいただきました。高知龍馬マラソンは、このように多くの方に評価をされ、県民の中にも認知される大イベントとなり、うれしい限りであります。
 しかし一方で、2名のランナーが心肺停止状態となりました。お一人は幸いにも医療関係者が近くを走っており、懸命の救助のおかげで一命を取りとめたところでございます。
今回のアクシデントを機に、倒れたとの一報から病院搬送までの経過を明らかにし、関係者が共有し、今後の大会における救急体制の充実を図っていく必要があると考えますが、教育長に今回のてんまつについて報告を求め、今後の対策をお聞きいたします。



●教育長
 高知龍馬マラソンに関する御質問にお答えします。
 まず、今回起こりました心肺停止事案に関し、経緯と今後の対策についてお尋ねがございました。
 今回の高知龍馬マラソンでは、10件の救急搬送があり、うち2件で一時心肺停止となる事案が発生いたしました。心肺停止となったランナーのお一人は既に退院されており、もうお一人につきましても、まだ入院中ですが、回復に向かっているとお聞きをしております。救急搬送されたそのほかのランナーにつきましても、回復が確認されております。
 心肺停止の事案は、2件とも付近にいたランナーや応援の方が心肺蘇生とAEDによる処置を行うことで自発呼吸が戻り、その後の救急搬送につながっております。いずれの事案も、救命措置を行った多くの方が医療関係者であったことが幸いし、救命につながったと思っております。対応に当たっていただいた皆様には、深く感謝を申し上げたいと思います。また、警察、消防、日赤などの関係者の連携と現場のスタッフの懸命な対応も、救護活動において有効に機能したと認識をしております。
 この心肺停止事案を含め、救急搬送された事案の詳細な経緯等につきましては、現在AEDの解析や関係者からの聞き取りを行っているところであり、まだ十分な検証まではできておりませんが、現時点で課題として特に重要と考えていることが3点ございます。
 1点目は、救護事案をスタッフが素早く発見し、連絡することができる体制を整備する必要があること、2点目は、スタッフとして配置する医師や看護師が、より早く現場に駆けつけることができる体制を強化すること、3点目は、速やかに医療機関に搬送するために、関係機関の協力体制を強化することでございます。また、ランナー自身で適切に体調管理を行っていただくための啓発など、事故の未然防止対策も必要と考えております。
 今後は、救護対応の検証により課題を明確にするとともに、他のマラソン大会の先進事例も参考にしながら、警察・消防・医療関係者などの協力を得て検討を重ね、2017大会ではランナーの皆様がより安心して安全に走ることができる救護体制をしっかりと整えてまいります。


◆桑名
 今回は大会規模も大きくなり、反省点も見つかりました。例えばトイレの問題です。毎回スタートから10キロまでのトイレが長蛇の列、時間も大幅ロスが生じるほどです。後半もトイレは必要ですが、コース序盤にもっと多くのトイレが設置されれば、ランナーもありがたいと思います。また、給水所で水がなくなってしまったところもありました。水を求めながら走る私のようなランナーには、精神的にも肉体的にもきつく感じたところでございます。今回は気温の上昇もありましたが、想定外を想定するよう、今後の対策をお願いいたします。
今大会での反省点を教育長にお聞きをいたします。



●教育長
 今大会の反省点についてお尋ねがございました。
 今大会は、昨年から約1,600人増の過去最多となる8,176人の参加をいただき、大きな混乱もなく大会を終えることができました。議員の皆様方にもたくさん参加をいただき、大会を盛り上げていただいたことに感謝を申し上げます。
 しかしながら、完走率が低かったことや、御指摘のありましたトイレの設置や給水、救護等でも課題が見つかりました。
 まず、トイレの設置については、スタート地点とスタート地点から5キロメートルまでの間のトイレの数を前回大会よりふやす対策を講じ、ランナーの整列場所周辺を中心に、第1給水所までに8カ所、158基のトイレを設置し対応しておりましたが、想定を超える利用があり、ランナーの皆様に御不便をおかけいたしました。次回大会では、特にスタート地点付近を含めたコース序盤のトイレの数を増加させるとともに、参加者にわかりやすい案内をすることで、安心して大会に参加できる体制をつくりたいと考えております。
 また、給水につきましては、大会前に気温の上昇が予想されたことから、第1給水所を除く全ての給水所に水240から360リットルを補充し、本番に備えました。しかしながら、最高気温が20度を超えたことにより、水の使用量が想定を上回ったことや、補充した水の保管場所の徹底がなされていなかったことなどにより、お話にもありましたように、給水できなかったランナーがいたという事例があり、大変申しわけなく思っております。水分補給は、ランナーにとって非常に重要なものであり、不足するようなことがあってはならないことであります。次回大会に向け、天候、人数、場所を考慮し、必要な水分量を十分準備することなど、さまざまな状況を想定した上で、今回のようなことが起こらないよう、再度見直しを行いたいと思います。
 そのほかにも、雨天時や交通規制への対応など幾つかの課題が上げられますが、今大会の反省を踏まえ、次回の大会に向けて十分な対策を講じてまいりたいと思います。


◆桑名
 今回は1万人の参加を目指したにもかかわらず、参加者は8,000人にとどまりました。次回の開催ではどのようにして1万人大会を実現するのか、知事にお聞きをいたします。



●知事
 高知龍馬マラソンについて、次回どのようにして1万人規模の大会を実現するのかとのお尋ねがございました。
 高知龍馬マラソンは、高知県の魅力を多くの県外の方々に知っていただくとともに、県民のスポーツや健康への関心を今まで以上に高めることを目的に開催するものであり、第1回大会の3,500人規模から順調に参加者数を伸ばしてまいりました。
 今大会、目標の1万人に届かなかったことは残念ですが、初めて全ての都道府県からエントリーがありましたし、海外からも42名のエントリーがあり、前回大会より1,789人多い、過去最高の9,534人となりました。出走者については8,176人、昨年より1,633人ふえております。
 沿道の途切れることのない温かい声援や、ボランティアの方々の心からのおもてなしは、今大会も健在であり、参加者の順調な伸びとあわせて、早春のイベントとして定着していることに手応えを感じております。
 1万人規模の大会の実現に向けましては、ランナーの幅広いニーズに応えるとともに、本県ならではのおもてなしをさらに充実するなど、ランナーにとってより魅力ある大会にしていくことが必要だと考えます。具体的には、マラソンの初心者でも参加しやすいよう、6時間としている制限時間を緩和することや、本県特産品を取り入れた給水、給食のさらなる充実、記念品の提供などについて検討したいと思います。
 さらには、今回ゲストランナーとして参加していただいた金哲彦さんにアドバイスをいただき、集客力のある有名ランナーの招聘や、より楽しく走れるコースづくりなどにも取り組んでまいります。
 次回大会は、来年2月19日の開催が既に決定していますので、早い段階で新しい工夫を盛り込んだ大会概要を公表し、高知龍馬マラソンの魅力を国内外へ発信することにも努めてまいりたいと考えています。
 一方で、今回明らかになった救護体制などさまざまな課題への対策についてもしっかりと行うことにより、高知龍馬マラソンがランナーにとってぜひ参加してみたいと思うマラソンへと発展するよう取り組んでまいります。

警察行政について

◆桑名
 治安情勢についてお伺いをいたします。
 昨年1年間の県内の刑法犯認知件数は、統計をとり始めた昭和21年以降最少の5,664件となり、重要犯罪認知件数も42件と前年より12件減少しております。検挙率も、刑法犯で34%、重要犯罪では71%と高い水準を維持しております。そして、特殊詐欺などの知能犯は減少傾向にあり、特殊詐欺の被害金額も1億2,700万円と前年を4億3,900万円下回りました。
 また、交通事故件数や死者数も過去最少となりました。交通事故件数は、前年より299件少ない2,391件、死者数は前年より11名減少の30名であり、これらの結果は高く評価されるものと考えております。
 全国的にも犯罪や交通事故の件数は減少傾向にありますが、本県における最近の犯罪傾向及び交通事故の実態についてどのように捉えているのか、警察本部長にお聞きをいたします。
 しかし一方で、ストーカーやDV事案は増加の傾向にあります。しかも、これらの犯罪は被害届も出さない事例もあり、潜在的にはもっと多くの被害があると推測をされます。こういった表に出にくい犯罪の防止にも成果を上げていかなければなりません。これらの犯罪に今後どのように取り組んでいくのか、警察本部長にお聞きをいたします。



●本部長
 本県における犯罪傾向及び交通事故の実態についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、刑法犯認知件数の減少、交通事故や交通事故死者数の減少等を見ますと、県内の犯罪情勢や交通事故情勢は一定の改善が見られるところです。しかしながら、その内容をつぶさに見てみますと、まだまだ多くの課題があると認識しております。
 まず、犯罪情勢については、刑法犯認知件数を罪種別に見てみますと、侵入盗などの窃盗犯が全体の4分の3を占め、暴行などの粗暴犯、特殊詐欺などの知能犯がこれに続いており、この構成率に近年大きな変化はありません。
 窃盗犯の中では自転車盗が最も多く、刑法犯全体の約26%、続いて万引きが約11%と大きな比重を占めていることから、これらの対策の強化が求められております。また、振り込め詐欺などの特殊詐欺については、議員御指摘のとおり、昨年の被害は減少しておりますが、平成23年からの5年間を見れば、その被害総額は約14億5,000万円に上るなど、依然として大きな課題です。
 次に、交通事故については、昨年の状況はただいま議員が御指摘のとおりでありますが、過去5年間の推移を見ますと、件数で約30%減少いたしております。しかしながら、例えば昨年の交通死亡事故を見てみますと、一つの目安である人口10万人当たりの交通事故死者数は、全国平均の3.2人を上回る4.1人、死者数に占める高齢者の割合も全国平均の54.6%を上回る63.3%でありました。また、子供さんが亡くなられる大変痛ましい事故も、昨年は2件発生しております。
 このようにして見てみますと、高知県の治安は一定程度改善傾向にあるものの、県警察が直面する課題は依然多く、今後とも一層の取り組みを行う必要があるというふうに考えております。
 次に、ストーカーやDV事案といった表に出にくい犯罪への取り組みについてお尋ねがありました。
 ストーカーやDV事案では、警察に相談したことが加害者に知られると、自分自身や子供への暴力がますますエスカレートするのではないか、あるいは被害を訴えることにより加害者との関係性が壊れるのではないかといったことを恐れて、被害の申告をためらうケースがあります。また、被害者が自己に起こった出来事を犯罪被害と認識していないという場合もあります。こういったことから、議員御指摘のとおり、ストーカーやDV事案では被害届がなかなか出されないという事例も多くあります。
 県警察では、これらの被害の潜在化に対応し、事案の未然防止を図るために、自治体や女性相談支援センター等の関係機関と連携して、ストーカーやDVについて犯罪であるということを理解させ、警察等への通報、相談を呼びかけるための広報啓発活動を行っているほか、被害者等が安心して相談できる相談室を設けるなどの環境づくりを行っています。また、被害者等の安全を守るために、シェルターなどの居どころや生活に関する支援、被害者等の意思を踏まえた加害者等への指導、警告、積極的な検挙にも取り組んでいるところです。
 警察では、今後ともこれらの犯罪に対して、被害の防止と被害者等の安全確保に努めてまいります。


◆桑名
 最後に、昨年着任されました上野本部長にとって、高知県での予算編成は初めてのことでありますが、本県の治安を預かる本部長として、どのような観点から平成28年度警察予算の編成作業をされたのかお聞きをいたします。



●本部長
 どのような観点から今回の予算の編成作業を行ったのかとのお尋ねがありました。
 先ほど申しましたとおり、県内の治安は一定程度改善されていると認識しておりますが、一方、解決すべき課題も多く、これまでの取り組みを継続するとともに、特に街頭犯罪や特殊詐欺のさらなる抑止、南海トラフ地震への対応等を充実強化させていく必要があると考え、予算編成作業に取り組んだところであります。
 具体的には、街頭犯罪を抑止するため、自治体や町内会等からの要望が増加している街頭防犯カメラ等について、県内全域への設置普及を見込み、街頭防犯カメラ等設置支援事業費補助金を、前年度の2倍に相当する30台分に拡充したいと考えております。また、特殊詐欺被害防止対策では、広報啓発活動を引き続き強化するため、録音機能つき電話撃退装置の貸し出しの拡充や広報用DVDの作成など、警戒意識等を繰り返し啓発していきたいと考えております。
 さらに、南海トラフ地震対策では、浸水域における迅速な被災者の救出救助や長期浸水エリア内の治安維持・強化のため、水中の障害物の影響を受けることなく高速走行が可能なエアボートの導入を図りたいと考えております。また、警察署等の警察施設は、発災時に救出救助活動の拠点となるということから、老朽化の進んだ警察施設の新築事業や、非常用電源設備の改修等に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 今後も県民の期待と信頼に応える強く優しい警察を確立し、県民の皆さんが安全・安心を実感できる高知県を実現するよう努めてまいります。

結びに

◆桑名
 それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。2問目はございませんけれども、一言思いをお伝えしたいと思います。
 平成28年度、これは先ほどからありますように産業振興計画、またそれぞれの基本政策が第2期から第3期にステージが上がるということで、まさに正念場の年になろうかと思います。その中で一番大切なのは何かといえば、やはり県民の意識だと思うんですけれども、ただこの意識というものも、私が平成19年に議員になったときからいえば、もう相当高まってきているんではないかなと。
 私が議員になったときに、周りの人たちが、高知県のことをどうしようか、よくしようかというようなことを表立って話す人っていうのは、そうはいなかったんですけれども、最近では普通に酒を飲んでいても、高知県のために俺は何かできないだろうかとか、そしてまた高知県がもう好きで好きでたまらないということを皆さんが言うようになったんですね。これっていうのは、これまでの産業振興計画とかこの基本政策の取り組みの成果というふうにも捉えられますし、またもう一つ、大きな転機があったんですよ。知事が提案した高知家、知事がおやじとなって高知県民みんなで家族でやっていこうという、あれが第2弾の県民の意識が向上するきっかけになったんではないかなというふうに思っております。
 そしてもう一つは、この平成28年というのはどういう年なのかといえば、えと学的に言えば丙申なんですね。これは陽明学の安岡正篤先生によると、これは今まで着実に取り組んでいたものがしっかり成長していく、伸びていく年であるというふうに言われております。
 ただ1つ課題があるんですね。それは、丙というのは甲乙丙の丙と書くんですけれども、ここに1本の線があって、その下に内と書くんですけれども、この線というのは壁みたいなんですね。この壁を突き破ったときに、この壁は分厚いんだけれども、突き破ったときにすばらしい成果が上がる。きょう知事答弁の中で厚い雲があるんだ、この厚い雲を突き破っていかなければ産業振興計画も伸びていかないということをおっしゃいましたけれど、まさしくその年になっていると思います。
 私たち議会もチェックアンドバランスをしっかりと図りながら、この県勢発展、そしてまた重要課題の政策の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。私も議員として皆さん方と一生懸命取り組んでいくことをこの場で誓い、私の一切の質問とさせていただきます。本日はありがとうございました。